コルト好調らしい

コルトはすでに7年前のクルマと聞くと少し意外な感じがある。リコール騒ぎに揺れた三菱は早々次々に新型車をつぎ込むわけにもいかず、熟成というのか、基本設計がよかったこともあってそのまま少しずつ向上させているだけのコルトが、減税の対象ということと何よりも本体価格の安さもあって大変好調な売れ行きだという。
実際、なかなかいいクルマなのだ。妙に小さいビッツやフィットと比べても無理のない大きさで、使い勝手がよく、それでいて現代的な燃費基準でとなれば、100万円を切る軽自動車並みの価格は魅力だろう。
実は、今のクルマにするか迷っていたとき、コルトラリアートと比べていた。家族構成を考えると次のクルマはそれでいいんだけれど、今は無理だなというので、アウトランダーになっている。
あのまま、スマートといっしょに開発を進めていたら、今ごろ、新しいHVやEVのベースカーになっていたかも知れない。

減税対象のからくり

朝日新聞朝刊に出ていた話なのだが、エコカー減税の対象車種は重量でカテゴライズされ、それぞれの燃費基準をクリアしたものに適用されるため、ある車種ではオプションを付けて重量をかさ上げすることで基準をクリアしているものがあるという。重量が上のカテゴリーの方が燃費の仕切りが緩いためだ。
そういうのはどうしたものだろうと思う。
ちょうど、ライトアップされた市街地をハイブリッドカーで疾走して悦に至るようなものだ。EVで近所のコンビニ行くのもそんなものか。
空気でエコのような感じになっているだけのものはけっこうたくさんある。
むしろ、この時代にハマーに乗ろうとかいう人は潔いのかもしれない。
週末になると、キャンピングカーがPAに止まっている。そうやって距離と宿泊料を稼いで遠出している様子。見聞を広めるのはいいことだと思うが、どこか本筋でないところの勝負になっているような気がしてならない。

水平対向でもいいのか

トヨタがコンセプトカーとしてモーターショーに出品するクルマにFT86がある。スバルの技術を生かして水平対向エンジンを用いたスポーツカーとして売り出そうというのだが、漫画の人気も手伝ってか、ずいぶんと問い合わせが多いという。
ハチロクファンは、水平対向でも構わないのだろうか。そうとも思えないのだが、節操のなさなのか、ハチロクであればいいのか。V6の現行スカイラインなど例えテールランプが丸く光るようにマイナーチェンジしても、それってスカイラインじゃないでしょうという感覚がある。V6ポルシェってのもなあと同じようなものじゃないのかと思うが、そうでもないのかな。

大きなステップワゴン

ホンダの革新性は誰もが認めるところで、その心意気に惹かれて少々できが悪くても乗り続ける人、買い換え続ける人も少なくない。だけど、この会社はクルマをどんなものだと考えているのかが、時折大きくぶれることがある。
スパルタンなモデルは案外意志が継承されて、ほかではやっていませんみたいなクルマを次々にリリースしているし、FFとしては稀少になったスポーツカーを海外では生産している。考え方に一貫性が見えにくいのは、スタイルの方だ。トールボーイで一世風靡したシティがすっかりゴキブリ型になったように、大きくなったり、小さくなったりしている。今回のステップワゴンのモデルチェンジは実に意外だった。
初代ステップワゴンは5ナンバーの最大サイズでとにかく広く大きく作り、ホンダ得意のエンジンをワゴンにさえ搭載して、十分な動力性能で、かつての名車「ステップバン」*1を現代向けに作り直したようでおもしろいコンセプトだと感心したし、また、よく売れた。*2ところがやっぱり横風に弱かったり、図体の大きいクルマを基本的には忌避する会社なのだったりするのだろう、コンパクトで室内を同じあるいはやや大きくした全体に小振りになるミニバンとして作られた2代目は、よくできたクルマだと思われたが、大衆からの支持が今ひとつだったのか、結局、3代目になって、また大きな図体になった。ホンダのこの変節が何を示しているのか。
もはや、ホンダはかつてのような革新性だけで会社を維持できるほど小さな会社ではない。売らなければ傾くのである。ということは、多くの人々が、CO2だの何だの言いながらこの大きなミニバンを支持すると言うことなのか。さすがに燃費はいいよとうたっているが、いまさらウルトラマンを引っ張り出すセンスといい、ウルトラマンタロウの角がひっかからないほどの室内空間というようなCF画像といい、何世代か前に戻ってしまったかのような印象は、残念ながら大衆受けするのかもしれない。ということは、なんだかんだ言いながらよじ登るような大きなクルマ、子どもがリアシートを自在に跳ね回るようなクルマ、難民キャンプのようなオートキャンプ場に家財道具を満載していけるようなクルマ、隣のクルマが小さく見えるようなクルマ。そういうものが求められているのだろうか。
気分、雰囲気。時代を覆う節操のなさに、いよいよやり切れないが、そうした大衆が社会を構成するもっとも大きな心情を形成している。そう考えるのはいよいよ心苦しくもある。

*1:派生車のバモスホンダは、ダックスやモンキーのような異彩を放っていた

*2:個人的には、S-MXやHRVの方がホンダらしくて好きだが、あんまり継続性がなかった。つまり、売れなかったらしい。これは、クロスロード←売れない。にも通じている。

18万台

プリウスの受注が1ヶ月で18万台だという。
日本もエコ意識が高くなったものだ。ってわけないだろ!どうかしているって。
年内には生産しきれないので、そんなに待って乗りたいクルマなのかな。
環境に対する負荷に付いてもいわれているほどの効果があるのだろうか。
ああいう技術は、流通の基盤を支える大型トラックなどから先に投入するのが本来の道筋だろうと思うし、公共交通機関のない場所の生活者の足、生活に必要な場所へのアクセスについて、真剣に議論すべきだ。何しろ田舎の人は、都会にはショッピングセンターがあふれていると思っているんだから。そのくらいに、人とクルマがつながっている。そこへ減税うるのが最初だろう。所得の多くをクルマの維持に食われているんだ。
市販車がどれだけ気分で売れようが、世界中のすべてのクルマがハイブリッドになったらどうのこうのなどというコピーには、冷静に対応してもらいたいもの。マイバックと同じなだれ込み。そうやって、半島の危機にも対応しちゃうのかな。
いや、案外、プリウスを格好いいと言った人もあるので、好き好きだけれど、そういう人が思いのほか多数派だってことか。その人は、ウイッシュに乗っているが、人を乗せたことがない。
でも、クルマに昂ることは今や反社会的な行為になったのかも知れない。

フォルティス

故あって、ギャランフォルティスをしばらく乗ることになった。
これはよくできたクルマだ。
走る曲がる止まるに過不足なく、手足のようによく動く。
三菱はインテリアや操作性などのインターフェースがほぼ同じなので全く戸惑いもない。
アウトランダーでは少し使いにくいフロアシフトノブでの6速ギアの操作も、割に感じよく動かせる。アウトランダーでは図体もあるのだが、パドルシフトがいいようだ。
乗ってみて感じるのは、むしろ、アウトランダーの出来のよさだ。セダンタイプと変わらぬコーナーリング性能。4WDでむしろ安定感を増し、ハンドリングの挙動に癖を消し去る素性のよさ。何よりサスペンションの調子よさが、このセダンと比べるとよくわかる。そのうえ、燃費も変わらぬ。
フォルティスにしても、例えば、アコードにしても、コンパクトセダンは今実に成熟した商品になっている。これが売れないのはどういう理由なのだろう。風向きが悪いとしか言えない。そういう中で、トヨタはどうやらプリウスを数十万台のレベルで売るつもりらしいし、また、そのように売れているという。インサイトの安値販売が、かえってハイブリッドは手に届く商品であるとの感覚や、実際、ミニバンと呼ばれた大きなクルマよりも安価で、エコを旗印に持つものにインテリジェンスの匂いを感じるのか、やけに販売が好調で、ホンダが付けた火をトヨタが暖まるという格好にさえなっている。
ところが、プリウスが販売されて10年。初期型の姿を見ることはほとんどない。クルマの平均使用年数が11年に延びている現在、その状況は異質だ。初期型がそれほど市場に出回らなかったことを考えても、10年でこれだけ姿を消すのは奇妙な感じがある。案外、ハイブリッドに乗る時勢に敏感な人たちは新しい性能にも敏感なのではないか。時代遅れのパソコンが嫌で高価なものを次々に買い替えて、やっている仕事はその性能を余らせているような例はいつでも見かけられるもので、ハイブリッドを5年で乗り換えるという強烈なエゴがはびこっている可能性はないではない。
どんなクルマに乗りたいかと問われて、みんながいいというクルマ、そういう若者が増えているらしい。
このフォルティスはたぶん、ちょっとしたリッターカーより安い。シートの安っぽさと革巻きに慣れてしまったステアリングの調子を除けば、標準装備のアドバンも含めて、実にいいクルマだ。実は選択肢のひとつにあった。とりあえずは、ETCが付いていないので遠出できないな。まあ、仕方あるまい。GWだからとどこかに出かける習慣は、そもそも持ち合わせていない。白馬辺りま出るなら、むしろ、これがいいか。
今度はコルト貸してくれないかな。