大林宣彦
大林宣彦の講演録を読んだが、なかなかいい。
教養と見識と覚悟。これがものを表現することの原点だという。
さらに、加えて、淀長さんとの会話で、「プライベート・ライアン」「タイタニック」のリアルな描写に触れ、品がないと斬る。そうなんだ。リアルであることと、リアリティの高いことは別の問題で、例えば、今の子どもは喧嘩をしたことがないから痛みがわからないなどと平気で言う教育関係者がいるが、そこに不足しているのはイマジネーションの不足であって、それが根拠になったリアリティの欠如である。すべて体験しなければわからないとする人々が、むしろ、体験に伴うイマジネーションによって生成するものに鈍感であるがゆえに、体験活動の衰退、あるいは、体験活動そのもののリアリティを喪失させてきたことがある。本物みたい絵ほど価値が高くないことは、スーパーリアリズムが挑発したはずで、一体それから何年経っているのだ。
ほかにも、アドバタイズという聞き慣れない言い方に感心した。なるほど、ボクらの仕事はいわばアドバタイジングという表現を伝える、あるいは、そうした技術を、あるいは、経験を積み上げることに価値があるのかと思うに到った。
また、尾道に行きたくなったな。あるものがあるべき場所に、あるようにしてある。それが、不朽のものであるとは、気付きにくいかもしれない。特に、合併の議論で、庁舎や名前、そんなもので何かを支えようと考える連中にはわかるまい。