むかしの味
藤沢周平は映画の関係があって古本も高い。少し旬から離れた池波正太郎を見かけては買っている。105円。
この人の食べものに対する目の持ち方がすばらしい。何をうまいかとする前に、うまいものとは何かを問いかけている。グルメとかいうときに、どこか具合の悪さを感じるのは、どうやらその問いかけがない場合で、「いい絵は誰が見たっていい絵でしょう」と開き直られることに近いくらいに落ち着きどころがない。
今日もある場所で子どもたちの絵を見たのだが、何を描きたいのかわからない。写生会で描いたらしいが、手前に何か花が描いてあって、うしろにちょっと傾いた校舎がある。子どもたちが笛や鍵盤ハモニカを持っているが、目を正面に向けず斜に構えて全体の構図も傾いている。前者は、手前と奥との対比でそれっぽさを出しているのだろうし、後者は不安定感を動的に見させているのだろうか。で、飾ってあるものは全部いっしょの感じ。描きたいものは何だったのだろう。わからない。きっと、指導された先生方には意図があるんだろうが、素人にはわからない。グルメもそんなところで、何となく悪くない、いいという人が多いという程度を評価の中心に据えている。ああ、そうか、「人気店」っていうものな。そうなんだな。今になって気付いた。
病院の待合いの間に読了してしまった。

- 作者: 池波正太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1988/11/30
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太うちのそばを紹介するなかで。
物の本に、
「蕎麦は土地の肥瘠(ひせき)を論ぜず、一候七十五日にして実熟し、凶荒の備えには便利なり」
とある。
簡素にして全てを的確に表すことばは美しい。
ポークカツレツは、とんかつではない。
だからあまり部厚いのはよくないのだ。
として、そのカツレツを半分だけ食べて、残りにウスターソースをかけまわし、翌朝まで置く、あるいは冷飯で食べるという、何ともボクには垂涎の食味まで書かれている。寒い地方では、脂が煮凝り状態になるという、何とも、そうなんだと大声で叫びたいくらいの。