[クルマ]能生

どこかの温泉に行きたいということでじゃあ400の雪を見にシャルマンに行こうということになった。
能生の海沿いには雪一つないのに、5キロも進むと次第に雪が増えてくる。権現荘のところまでいくとすっかり2メートルくらいの雪。そこで須川そばまつりののぼり。ここは須川という集落なのか。もしかすると、よってきなえやが営業中か。さもありなむで、どうやら今日がそばまつりの当日という巡り合わせ。3月中の日曜日は営業しているらしい。
さっそく温泉センターにクルマを停めて、よってきなえやへ。ああ、懐かしい。こういう風景だった。そばセットというのを頼む。1000円。天ぷらとなんかの葉っぱに載った寿司。これは糸魚川でもしばしば出てくる。加えて、ポテトサラダ。これも不思議だが、この土地の人は好きである。食料品店やお総菜屋さんの店頭にも必ず、ある。そばとポテトサラダである。不思議だが、これがごちそうである。それに白菜の漬け物。漬け物は日替わりとあったが、今日だけのそばまつりに日替わりというのはまた奇妙な感じもあるが、懐かしさ優先で、店先のおびただしい雪の山もため息だけですごす。
出てくるまでは少し時間がかかった。天ぷらを届けてきたおばさんもいるので、きっとあれがボクらのセットに供されるのだろう。
実は、よってきなえやのそばは二八である。しかし、今日は自然薯。これは楽しみである。糸魚川というのか頸城地方のそばはこうでなくっちゃ。風味のあるそばである。そのままいただく。たれが辛い。甘く辛く濃くくどく、味の素臭もある。ほとんど付けずに一気にそばをいただく。堪能。土地の味わいだな。天ぷらや寿司も食べるとずいぶん腹がふくれた。
たれが辛いなと思っていたら、店の関係者と地元のおばちゃんの会話。おばちゃんは2人連れである。ことばはネイティブではなく、ナショナルスタンダード。
店「今日はきてもらってありがとう。今日はつゆはどう」
おば1「わたしぐらいの歳になったらちょうどいい感じです」
店「そうですか。それなら、よかった」
おば2「全然うすくてだめですね」
うすい。これが!確かに猪口いっぱいにそばを満たして食べていらっしゃる。土地の味わいとなればあれに挑む必要があるが、さすがに無理だ。ネイティブのテイストは難しい。
思いもかけずそばを楽しんで、シャルマン火打へ。雪はいよいよ激しく嵩を増してゆく。約4メートル。センターハウスが見えない。ゲレンデには人も少ない。きっと朝イチから食われてそろそろもう食い尽くされたんだろうなあ。
ゲレンデはボクが好きなくらいの緩み方。スキーにすればよかったが、ちょっと知り合いの子が来週試験なので遠慮。スノーシューで歩く。今回の靴は、アルピナNNN−BC。先週補修したもの。どのくらいもつかなあ。
ゲレンデ向かって左側の森に向かって歩き、ちょっと見晴らしのいいところまで行ってから、一気に斜面を駆け下りる。途中、息子の携帯の修理のことで電話が入ったりしてあんまり気持ちはよくなかったが、それでもこれだけ広がった雪の原は気持ちいい。葉を落として枝だけの林で木の陰に紛れる。コーヒー飲むんだったなあ。
コースを横切り、のぞき込むような斜面を下る。下が見えない。躊躇するよりも踏み出した方が楽に歩ける。踏んでしまえば斜度は関係ない。クラストが破れないとしんどいけれど、このくらいの湿雪でも浮遊感があって気持ちがいい。一気に数十メートルを抜け、コースに走り込むとスキーヤーが驚いていた。スノーシューはこういうことができるのでいい。いっそリフトで一番上まで行って火打を拝んでオフピステを降りてくればよかったか。いや、上から見えないと衝突の危険がある。剣呑である。
靴はどうやら大丈夫。意外に好適な補修だったか。
帰りは、柵口温泉。下りは軽快に走る。好いクルマだ。70のスタッドレスなので、これで夏タイヤならもっと気持ちがいいだろう。
温泉センター310円。循環湯だけど湯質が柔らかくよく温まる。ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉。弱アルカリ性。窓口には、おいしそうな饅頭やみかん、山菜などを売っている。懐かしい小川温泉の当時の風景だ。ぼんやりとこういうところで過ごす一日もいいなあ。年取った。
帰途は眠くて親不知で仮眠。仮眠していることも忘れるほどの爆睡。クルマの燃費が12キロメートルを超えた。運転次第なのかな。帰り道は急激に伸びる。
さっきニュースで、午後3時というからボクらがちょうど柵口温泉を離れた頃に鉾が岳で遭難が通報されたらしい。山スキーだが、昼食の準備中に崩落とのこと。麓も相当に騒然したと思われる。数年前も放山付近の遭難で慌ただしい現場に遭遇したことがある。