戦犯を糾弾するなら

スモールベースボールで金メダルを目指したはずの星野ジャパンが砕けた。もともと、砕ける要素にあふれていただけに、想定の範囲の最も下の部分になっただけで、予想外ではない。それというのも、村田やGG佐藤といったおよそチーム戦術にそぐわない選手が混じっていたことからであったが、佐藤のあまりの気の毒さに、最早、彼が無事帰国して不幸なことにならないことまで願う状態に陥った。プレーヤーとしての責任はあろうが、そもそも彼らはチームにマッチしていなかったのだ。責められるが、合わないステージで使った方が悪い。ドラゴンゲートの前座で小橋建太が歌を歌うようなものである。
もう少し冷静に考えると、なぜ選んでしまったのかを含めてチームマネジメントの問題が浮かび上がる。
今回のヘッドクォーターは、星野を軸に、山本、田淵という仲良し三人組に、大野である。これだけで、実質的にコーチングや戦術の組み立ては大野に委ねられていることがわかる。そこは理解できる。なぜなら、短期決戦は実質投手力の整備であり、女子ソフトボールは最後の三戦を絶対エースの上野で押し通した。ただ、大野だけが立場が妙で、仲良し組のパシリとして機能した可能性も捨てがたい。準決勝での躊躇しまくりの投手起用に、韓国との彼我の力の差をうまく分析できず、決勝を想定してしまった甘さが見えてしまう。それでも、それなりに、考えられる範囲のなかで投げていたし、多くの場合、投手は1球で地獄を見ることもある。
では、そのほかのチームマネジメントはどうだったか。
山本がサードコーチという、まさかである。オールスター戦ではあるまいし。向いていない。広島での成功は選手の個々の能力、とりわけ、野球センスの高さと突出した練習量に支えられたものであった。山本が戦術を構成するまでもなかった。そのため、連覇は難しい。選手の状態は刻々と変わる。2年ももたない。内野守備は、宮本が実質的に仕切りリードするにしても、山本の得手ではない分野での挑戦は酷である。星野も気の毒な場所を与えたものだ。
星野と山本の関係を読もうとすれば、星野は情に厚く、また、信頼した人間を信じ切ることに情を感じる人でもある。おそらく、任せた部分は自分の意見があっても決めてきたことを尊重する。ここがきついものだ。
そこで、問題になるのは、田淵である。アジア予選でも問題になっていたが、全く何のためにいるのかわからない人で、チーム編成の記者会見でも、取材記者をいらいらさせていた。この人は、おそらく1発が試合を変える局面を快く思っていて、そういう選手の存在が重要であると主張するに違いない。その主張を星野が受け入れたという憶測は、案外通用するのではないか。
彼の野球観を考えようとしたとき、ほぼ、村田や佐藤のような姿と、優勝のかかった巨人戦の落球、そして、タブチくんしか思い浮かばないのは、思いの外、正鵠を射ているようである。
帰国後のインタビューで、きっと、いや、必ずGG佐藤を擁護するつもりでとんでもない空気感の言葉を発するに違いないと思っているが、願わくば、報道されませぬよう。また、いらいらが募る。そして、このいらいらは解消できない。
イチローが自分がいないので負けたみたいなことを言い出すんじゃないかとの心配もある。
重ねて言う。野球機構とチームのマネジメントの敗退である。抜本的な思想転換を図るか、アジアのローカルゲームで楽しむというメジャーなインディーズになるかってところだ。
それにしても、これ韓国勝ってしまうぞ。イ・スンヨプジャイアンツに合流できるかどうか心配だな。