フォルティス

故あって、ギャランフォルティスをしばらく乗ることになった。
これはよくできたクルマだ。
走る曲がる止まるに過不足なく、手足のようによく動く。
三菱はインテリアや操作性などのインターフェースがほぼ同じなので全く戸惑いもない。
アウトランダーでは少し使いにくいフロアシフトノブでの6速ギアの操作も、割に感じよく動かせる。アウトランダーでは図体もあるのだが、パドルシフトがいいようだ。
乗ってみて感じるのは、むしろ、アウトランダーの出来のよさだ。セダンタイプと変わらぬコーナーリング性能。4WDでむしろ安定感を増し、ハンドリングの挙動に癖を消し去る素性のよさ。何よりサスペンションの調子よさが、このセダンと比べるとよくわかる。そのうえ、燃費も変わらぬ。
フォルティスにしても、例えば、アコードにしても、コンパクトセダンは今実に成熟した商品になっている。これが売れないのはどういう理由なのだろう。風向きが悪いとしか言えない。そういう中で、トヨタはどうやらプリウスを数十万台のレベルで売るつもりらしいし、また、そのように売れているという。インサイトの安値販売が、かえってハイブリッドは手に届く商品であるとの感覚や、実際、ミニバンと呼ばれた大きなクルマよりも安価で、エコを旗印に持つものにインテリジェンスの匂いを感じるのか、やけに販売が好調で、ホンダが付けた火をトヨタが暖まるという格好にさえなっている。
ところが、プリウスが販売されて10年。初期型の姿を見ることはほとんどない。クルマの平均使用年数が11年に延びている現在、その状況は異質だ。初期型がそれほど市場に出回らなかったことを考えても、10年でこれだけ姿を消すのは奇妙な感じがある。案外、ハイブリッドに乗る時勢に敏感な人たちは新しい性能にも敏感なのではないか。時代遅れのパソコンが嫌で高価なものを次々に買い替えて、やっている仕事はその性能を余らせているような例はいつでも見かけられるもので、ハイブリッドを5年で乗り換えるという強烈なエゴがはびこっている可能性はないではない。
どんなクルマに乗りたいかと問われて、みんながいいというクルマ、そういう若者が増えているらしい。
このフォルティスはたぶん、ちょっとしたリッターカーより安い。シートの安っぽさと革巻きに慣れてしまったステアリングの調子を除けば、標準装備のアドバンも含めて、実にいいクルマだ。実は選択肢のひとつにあった。とりあえずは、ETCが付いていないので遠出できないな。まあ、仕方あるまい。GWだからとどこかに出かける習慣は、そもそも持ち合わせていない。白馬辺りま出るなら、むしろ、これがいいか。
今度はコルト貸してくれないかな。