天国と地獄

黒澤明のテレビリメイクをBS朝日でやっていて、お昼からずっと見入ってしまった。現代に舞台を移してみるとどうなるかってところもあったが、例の「こだま」のトイレのシーンは車掌室になっていた。サンダーバード型の車両だったが、ちょっとつまらない感じになってしまった。それでも、妻夫木聡もなかなか好演で、キャストが安定すると物語が深くなるという何度も経験した理屈を感じている。でも、山崎努の演技が、当時の時代といくつかの上目遣いなルサンチマンを巧みに、しかも、ねちっこく、体現できたいた。演技力の差ではなく、そこは時代の差だろう。
専務が道具鞄を持ち出すシーン。黒澤の方もそうだったが、こちらも人間性を示すいいシーンに映っている。もの作り職人の心象が見直されなくてはならない、そんな時代観も含めて、リメイクは成功している。