糸魚川

週末になると温泉に行く。すっかりルーチンになった。
今日は、焼山温泉でも行こうと思い立った。久しぶりに泉屋さんでも立ち寄ろうと思った。祖父も、父も、ここんちのおそばが好きだった。7,8年前に天ぷらそばを食べたきりでご無沙汰である。
糸魚川市内に入ると、すぐに通行止め。どうやら加賀通りが何かのイベントで通行止め。白馬通りから駅前に抜け、有料駐車場にクルマを止める。ジオパークに指定されて以来、少し活気が出ている様子だ。それに、国体の秋季大会が開催されているはずだ。たしか、ソフトボール
少し寂しくなっていた町のあちらこちらに何かの仕掛けがあり、人通りもわずかに増えている印象。駅前のこぎれいにした商人宿にも少し行き届いた気配が見える。

加賀通りには、出店や消防車両、自衛隊糸魚川と言えば、とすっかり有名になったヒストリックカーが並んでいる。お目当ての泉屋さんは、加賀通りの銭湯と、加賀の井の蔵元に挟まれた場所だ。今日はお客さんがいっぱい。

入れ込みに入る。すぐに目がついたのは、手打ちの文字と鴨南蛮、そして、名古屋コーチン。しばらく、おそばがそれほどでもと言われていたのだが、ここにきてずいぶんと力が入っている様子。メニューにもしっかりと天ぬきや追加のざるなどを書き込んであって、うちは「生かえし」*1だとか書いてある。なるほど、そばやの矜恃を前面に出してきたな。

泉屋さんは飯も出すのだが、これもまたなかなかうまい。宿場町の町屋の風情を残した入れ込みと小上がりがまた、蕎麦に合ってうれしい。悩んだ挙げ句に、ここは原点にもどって盛りを賞味。

ここんちの盛りは、海苔を抜いたものを盛りとしているらしい。そういえば、このあたりには珍しく花巻がある。
彼女は、鴨南蛮。これが実にうまそうである。大体、糸魚川はおだじまといい、鴨がすこぶるよい。名古屋コーチンの鳥南蛮も興味深いが、次回にとっておく。手打ちだと100円増し。手打ちでなくても、二八蕎麦なので、無理に手打ちにしなくてもいいくらいに思える。実際、これまでもそうだったのだ。以前食べたときよりも独特の臭みがない。
なつかしいものに出会った気分で、いや、たいそう気持ちがいい。御前蕎麦というのを頼むと、来店時から蕎麦打ちをしてくれるという。それも次回には賞味しよう。
糸魚川は、なかなか隠れた蕎麦の里になりつつある。
食べ終わって加賀通りを歩く。

ヒストリックカーのなかでも、箱スカS20型が置いてある。いろいろいじってあるが現役で走るそうだ。
隣にあったのが日野ルノー。父が東京で乗っていたクルマだ。そう思うと、何かの導きのような気になった。懐かしいというには現実的に乗れるチャンスもあったN窂。これになると水冷になっているのでホンダらしくないのだけれど、それでもいよいよちゃんとしたクルマメーカーに移行する契機になったクルマと考えていいだろう。



思わぬ町歩きを堪能。ジオパークのよくできたパンフレットなども手に入れて、そのまま焼山温泉へ移動。
露天風呂ができていて、こちらもゆっくり楽しめた。ここのお湯はぬるめなのだが、全く実に深く温まる。

人気はもう少し上にある笹倉温泉だそうだが、いやお湯に質は比べものにならない。わき出るような湯の花は、このお湯の質を伝えてくれているようだ。よく似ているのが奉納温泉。ぶのう温泉と呼ぶ。小谷村にあるのだが、そこと甲乙付けがたい。いずれも自噴だが、加温。自噴というのは、何かしらの霊験があるように思える。
帰宅後、仕事に。ちょっと上着を忘れて、体を冷やし、少々後悔。

*1:かえしは本来煮詰めて冷やすものだが、そうしないものを生かえしとか、冷やかえしというらしい