敗北感は最初から

こんなに恥辱にまみれた銀メダルも少ない。
最初から勝負が決まっていたからだ。そのままこなせば勝てない。敵失を待つだけの戦いは待ってもこない敵失を待ち焦がれている分だけ激しく追い込まれる。もともと勝てる戦いではなかったのだ。
とすれば、王者に挑むにはあまりに策がない。
最初から追い込まれ、ミラクルを待っていたに過ぎない。
金メダルなど最初から届かない場所にあったのに、もしかしたらと考えた分だけ、銀メダルは価値を減じた。
破れはしたが真生ちゃんがんばったよねというのは、フィギュアがアスリートによる競技でないことの証明である。
数字が出ない安藤の方が気の毒な感じさえした。
それはそうだろう。
あそこまでアジアンが席巻する氷盤が、この競技のエスタブリッシュメントたちにそれほど美しく見えるわけがない。