震源域は、あれダムの辺でしょ

大震災でどっかのダムが崩壊したという話があったけれど、それきりあんまり話題にもならない。水力だってそういう問題や環境破壊は別の類ではあるけれど避けられないわけで、何も原子力だけに限ったことではない。リスクの質が違うということで、原子力のようにどうにもならないレベルに到達しないだけで、おっかないことには変わりがない。
5日夜から長野県北部っていうところの10キロぐらいの深さで地震が続いていいる。マグニチュードは最大でも5くらいなんだけれど、起きている場所が黒部ダム高瀬ダムに近いあたり。なかなか剣呑な空気が漂う。
黒部ダムの建設地点を決めるときに、造山運動が激しく、名うての崩壊地である黒部峡谷に巨大ダムを作っていいのかと議論があったそうだ。それはそうだろう。昨日の地震で落石が誘発されて登山者が巻き込まれて亡くなっているほどだ。黒部ダムのあたりだけ大丈夫なんてことはあるとは思えない。いろいろ調査もされて大丈夫ってことで建設されたわけだけど、本当に大丈夫なのか。建設の直前に、アメリカでアーチ式ダムの崩壊があって、大規模な設計変更もあって、今のようなM字型のアーチになったそうだし、関西の停電を恐れて、何か急いたことはないのか。「黒部の太陽」で知られるトンネル工事でも破砕帯を突き抜けるのに恐ろしく難儀をしている。事前の調査でははっきりわからなかったわけだし、黒部ダムができてから河口部沿岸の浸食が激しさを増した。それだけ黒部川が土砂を供給していたということで、ということはそれだけの崩壊が日ごろあったということにもなる。それで、黒部ダムのあたりだけ大丈夫なんて都合のいい話があるのかな。
こんなことを聞いてぞっとしたことがある。黒部ダムは貯水量によって前後に動くというのだ。水というのは体積を変える性質があって、気温や貯水量によってもずいぶんとダム湖に変化があり、ダムサイトは70センチメートルくらい動くというのだ。それでも大丈夫なように設計されているという。どっかで聞いたような話だな。歴史的な突貫工事で作ったんだろうと思うんだけど。
所詮、関西のための電力である。お国のために、そういう危険も私たちは甘受しようじゃありませんか。国民として、電源立地交付金で埋め合わせをいただいているわけで、そういうことも含めて我慢しようじゃありませんか。ねえ、みなさん。釣りもさせていただいているわけですし。
でも、おっかないな。