池の平温泉

予想通り春の雪が降りしきる。
思い出してみると、彼女とは白馬にはあれだけ遊びに行っているのに、妙高は案外少ない。妙高のゲレンデは裾野が広く、概ねなだらかな斜面で、ダケカンバやブナなどの森に挟まれるように広がっている場所が多い。白馬ほど標高は稼げない分、湿気も多いが、日差しが明るく感じられる。今日は、フード付きリフトがある池の平にした。
ここは、カヤバとアルペンブリックというスキー場がくっついている。赤倉とも共通チケットもあるようで、以前はそれを使って、クマドーから、アルペンブリックまでリフトを完全乗車したことがある。
曲がり角を間違えて、カヤバではなく、アルペンブリックの方に流れる。まあ、そこのところはどちらでもいい。春スキーの割引券を買って、リフトに乗る。少し降ってきたが、時々日差しがあり、薄っすらと積もった雪の下はどうやら雨だったらしく、黒くなって固そうに見える。
クワッドで上がると、なるほど、上と下でえらく様子が違う。メインバーンは広い分風に影響を受けるのか、部分的にあまり快適でない場所がある。アルペンブリック側が調子良く、ハンネス・シュナイダーにちなんだ、ガッシュナイダーコースに入る。
ハンネス・シュナイダーオーストリアのスキーの名手で、新潟や青森で始まったスキーの概念を大きく変える技術を持ち込み、日本のスキーが今にように進んだ基を作った人だ。野沢にその名を冠した激しいコースがあり、スキー博物館には彼が使った板が展示されている。
来日の折、国内の何箇所かに立ち寄っているが、池の平に訪れていて、このコースに名を残している。野沢のそれとは随分様子が違う穏やかでスキーの気持ち良さを、決して息をあげることもなく楽しめる好適なゲレンデだ。テレマークの細板で何回か滑っているが、シュナイダーならアルペンスキーだろう。実際、それはその通りで、実に気持ちが良く、時間帯によっては人もいないし、ワックスもよく合って*1ハイシーズンのゲレンデを貸し切った様子。彼女も随分楽しんでくれた。
林間をボードに人たちが楽しそうに走る。思いも掛けないパウダーで、パークは少々閑散とするくらいに、ゲレンデわきがたのしそう。女の子が以前と比べてとても上手になっている。楽しそうに滑る人を見るのは、また、楽しい。
お昼は、アルペンブリックで済ませる。なかなか、食事が良く、どの人の食べているものを見てもおいしそう。ご当地ラーメンがあり、地元のかんずり味噌、三条の背脂醤油、そして、富山ブラックがラインナップ。背脂醤油を選ぶ。
食事のあとから激しい降雪。フード付きがいいのだが、ガッシュナイダーではフード付きを使えない。カヤバからアルペンブリックには入り込みやすいのだが、その逆は少し面倒なのだ。おかげで、ガッシュナイダーも、ヤッホーも混雑なく、実に気持ち言い訳だが。
さすがに、体に積もる雪さえ難儀になってきたので、カヤバ側のレストランでコーヒーを飲む。ここがまた、何を見てもおいしそう。そういうことをみんな知っているのか、満員。コーヒーは浅煎りでもたれない上品なもの。彼女は、パフェを食べていた。
雪が少し収まったので、外に出る。また、日差しが出てきて、2月のうようだ。再びガッシュナイダーに入るが、何とコーヒーを飲んでいる間に、ゲレンデはリセット。足首から脛に至る新雪。こういうところをあまり滑ったことがない彼女は少々苦心気味。僕も苦手だったが、テレマークで随分こういう場面にも慣れた。ちょっとアドバイスすると楽しそうに滑り始めた。本当は、ストレスなく滑れるはずだが、足を取られそうなのか、変なところに力をいれている。思ったよりもくたびれるが、リフト1本通しで滑る。
3時を過ぎると、急激に寒くなってきたので、終了とした。
今日も、いい山で遊ばせてもらった。アルペンブリックホテルの前で、いつものように山に挨拶。ありがとう。
今日の温泉は、杉野沢まで移動して苗名の湯。近くに、ランドマーク温泉があるんだが、ちょっと賑やかすぎて、おじさんには騒々しい。実は、、まだ行ったことがない苗名の湯にした。
ここは、沸かし湯だが、相当に温まる。わずかに黄色を帯びたお湯は、固すぎず、柔らかすぎず、つい長湯をするのかもしれない。ロビーも広く、フロントで温泉饅頭を買って、ゆっくりしてから帰宅。ドライヤーが有料でお金をもって入らなかったので、丹念に室温で乾かした。
外に出ると、明るい空に雪が舞う。大好きな風景だ。

わた雪春の陽妻と手をつなぐ 裸石

*1:今年から、マツモトワックスを使っている