大人の鉛筆

ふと立ち寄ったマクドの向かいに文具店があり、ふらっと入る。
文具店は本屋にも増して危険な場所だ。妄想が膨らむ。本なら本の世界で住むのだが、文具は道具だけに用途が広がり思わぬ展開を見せてしまうことも少なくない。
万年筆地獄だの、修羅消しゴムだの、替え芯お遍路だの、大変なことになる。システム手帳のリフィルなど、塵芥になって使い途もなく相当に無駄をしている。
今日も、スマホで取り込みやすいノートなどというものがいよいよ誘惑する。このところ手描きでプランニングしたり、仕事をうけおっったりすることが少なくない。iPadにデータ貯めておくといいかなと思って、特にルーズリーフタイプはやけにそそるので、一旦手にとったものの逃げ出して難を逃れる。
隣がいけなかった。前から欲しかった芯ホルダーが、いやに色目を使って誘惑するのだ。おがくずを固めて成形した木質のボディが、もう、僕をおいて縛り付けられてしまった。何時の間にか、ボディと替え芯、さらに、いっそうスリムに磨き上げるための専用の芯削り機まで一括購入。

大人の鉛筆という商品らしい。けっこう人気があるらしく、ケースの表に出て客引きをしていたのだが、まんまと引っかかった。
さっそく、仕事に使う。いいじゃないか。貧乳だが、清楚である。使うほどに、木質が変色していくのも楽しみである。
散財というには、ほんの1000円だが、文具はどうしてこうも無駄遣い感覚が先行してしまうのだろう。
でも、きっとお気に入りの一品になろうて。