川合田温泉

金沢で買い物をした帰り、どこかの温泉に寄ろうと、事前にいろいろ調べた中から、山を越えて越中に入り込んだ川合田温泉を選んだ。
悩んだのは、金沢市街地に点在する銭湯として開業している温泉。いくつかあるんだが、これが大変に魅力的。いわゆる、スーパー銭湯ではない。普通に、「時間ですよ」に出てくる銭湯である。
東京の銭湯の多くは、北陸の出身者だと聞いたことがある。何でも薪炭を入手しやすかったということらしい。「時間ですよ」のマドンナは、久世光彦富山県の学校を出ていることもあってか、富山県出身となっていた。浅田美代子もそのような設定だったはずだ。また、「水の女」の監督も富山の人だ。富山市内にもいい銭湯があって、市内で遅くなるとそこに入ってくる。今では、スーパー銭湯型の温泉も少なくないが、時間をかけて地域に親しまれている銭湯には味わいがある。
今日は、山の湯にしようと、福光町の山間部にある川合田温泉にしたということだ。何でも江戸時代の地震か何かで湧き出したものが大変に体に良いというので評判になり、そこに湯桶を置いたのが最初という。こういうところは、何かあるものだ。
行ってみると、源泉は約20度。食塩泉である。湯温は低く、湯量も少ないので、循環加温。加水はしていない。ジャグジー風の泡が出ているが、湯温は適度に低く、僕には快適である。多くの人は寒かろう。普通にのんびり入浴するが、入ってすぐにこのところきつかった左肩から指先にかけて血が流れ始めたのか痺れ始める。源泉で顔を洗うと皮脂の汚れがぼろぼろ落ちる。意外なくらいだ。どうやら、こうして自然に湧き出て人々に親しまれたお湯には何か力があるらしい。源泉かけ流しだけにこだわる人にはこういう味わいはわかるまい。それだけで、本物の温泉などと決めつけるわけにはいかないのだ。
脱衣所には、マッサージ機。懐かしい。20円と書いてある。


こういうの、昔はどこにもあったなあ。生憎細かいのを持っていない。動作確認ができなかったが、ちょっとだけ座ってみた。
上がって、ロビー横の談話室で水を飲む。ヒラモノが美しい場所だが、ここに、オバQがあった。

昔、遊園地にあったような奴だ。10円。動かしたかったが、細かいのがない。悔しい思いをした。さすがにまたがるわけにはいくまいが、藤子不二雄の縁もきっとあるんだろう。いつか、ぜひ、動く様を撮影しよう。
湯上がりには汗を感じるほどではなかったのに、そこから帰宅するまでずっと温かさが残っている。なるほど、名湯である。地域の人たちが愛しているわけだ。循環しようが加温加水しようがそこには何かの力があるのだ。