失言

ちょっと前なら、徴兵復活など言い出そうものなら世論を二分どころじゃない非難を浴びてそのまま凋落だったが、しばらく前からの対外強硬姿勢がまるで布石だったかのように、直前の事実上のミサイルと呼ばれたロケットの発射まで筋書きのひとつだったようにクライマックスに行き着いた。
監禁殺人事件の主犯格と目された女性の、あまりに唐突な、ほんとうに安っぽいドラマでも見るようなこの世に現実に起こりうるものとも思えない事件の流れといい、現実は想像を超えると言いながら、そんな安直な展開はないだろうというくらいに、ヒステリックに事前に圧勝をアナウンスするメディアの装いさえも全くどこ吹く風なのか、あっさりと予定通りの結末に収まった日曜の夜。
有権者が持っているのは、選挙権じゃなく、国の主権なのだが、そのことをどれだけの多くの人が噛みしめていたのだろう。主権者が持っている覚悟と責任を引き受けられるのか。土下座を繰り返す政治家に、その矜恃を見るのは難しい。白紙委任したわけではない。
いや、こんなこと書くのは、きっと核軍備くらいでは失言にならないのに、不倫なんかで退陣したりするんだろう。そっちの圧力の方が大きくなりそうな世間に恐れているんだ。