ビル解体再開発

銀座にある古いビルを見ていると、その街のプライドというのか、そこがどう生まれてどう育ったか、そのことについてどんなリスペクトが存在するのかを考える。東京駅の復活もそうだ。そうでなくてさえ古い姿を留めていたのに、原初に立ち返ろうというあたりに、心を寄せてしまう。
僕が勤務している街には、大空襲にも耐えた建物がいくつかある。そのうちのひとつの老舗百貨店が解体されている。そうやって新しい街づくりをしようというのだが、すっかり見違えることはあっても、そこにどんな魅力を見出せるのかは疑わしい。何を街の基本とするかの視点が定まっていない。目新しいものに飛びついてあっという間に使い古されていくのは、一発芸人といっしょだ。
ただ、こういう状況を生み出しているのもまた、市民なのだ。そのことをもう少し真剣に考えよう。考えたところでそれが反映される仕組みがなければならない。その仕組みもかんがえよう。それが市民の権利でもあり、義務でもある。そう思える社会を作るには、さて、どうしたものだろう。