ニレ池で竹竿をふる

あるビルダーの方から竹竿を貸してもらった。試作品だそうで、試しに使ってくださいという。何だかおっかなくて川で壊したらどうしようなどとうろたえて、ニレ池ならよかろうと#4のロッドを持ってちょっとだけ釣ろうということにした。
ニレ池に着くと案外人が少ない。これなら何とか下手くそな振りでも釣りになるかと、コンビニで弁当を買ってきて腹ごしらえのあと、1時間半ほど釣ることにした。
竹竿は全く初めてというわけではない。かつてホテイチクを使ってワンピースのナチュラケーンロッドを作ったことがある。極端な先調子でそれはそれでおもしろく、ニレ池でもけっこう楽しませてもらった。だけど、こういうバンブーロッドという商品は初めてだ。いや、ニレ池の元気な魚に対応するのかずいぶん心配。
ラインを通して桟橋で降る。少し重くは感じるが、振ることに抵抗感がない。ちょっとだけフォルスキャストすると、出て行こうとするラインと出しているラインが折り合わずティペットが反動で戻ってくる感じさえある。ラインを出すと、何だか自分らしくない感じもあって戸惑う。
グラファイトというのは中空のブランクなので、こうやって中が詰まっていることがトルクの正体なのだろう。いつものようにロールキャストをすると、まあ、楽なものだするする伸びていく。竹、竹が生えという国語の教科書に出てくる詩を思い出す。
釣り自体はいつもの通り。グリフィスナットをだらしなくちょっと浮かし目にするといくらもかかる。リールでのやり取りやら、ラインを引くやらいろいろやってみる。引き寄せの感じがちょっと違っていて、魚に無理がかからないのか、いつもよりも魚が元気な感じがする。でも、それは、僕自身が臆していたからだろう。ちょっとアグレッシブに引いても竿はずっと安定したまま。素直なロッドで、こういうのは僕の好み。スキーはトリッキーなのが好きなのに、そういうところが面白いものだ。
見えている魚の鼻先を狙うときれいにスポットに収まる。だから、入れがかり。こんなにアキュラシーがいいものなんだな。無茶しなくても自分の距離はしっかりと確保できるし。こういうものなんだな、竹竿って。もっとデリケートかと思っていた。
適当に1時間ほど釣るとずいぶん慣れてきた。竹竿はそこでおしまい。天竜のベーシックマスターに代えて感覚の違いを見つけることにする。
振ってみるとおもちゃのように軽い。魚をかけた感触は、グラファイトの方がラクな感じはあるものの、ニレ池の元気な魚は相変わらずうろたえさせてくれる。

人間ていうのは不思議なもので、2、3投までは軽く感じるのに、すぐにこの竿の感覚に戻ってしまう。いずれにしても、気持ちよく僕の腕になっていく。
時間ギリギリまで桟橋で釣って終了。
妻に何枚か写真を撮ってもらったが、こういう顔して釣っているんだな、僕は。

帰りは、倉下の湯につかって、白馬コルチナのイングリッシュガーデンを見に行く。すれ違う車が全部ミニで変だなと思っていたら、コルチナでオーナーズミーティングをやっていたようだ。200台くらいいたかな。クロスオーバーがあんなにたくさんあるのは初めて見た。イングリッシュガーデンは600円だったので遠慮して、遊歩道を歩いて紫陽花を眺めた。白馬はどこでも花がきれいに手入れされている。風もいい。ホテルの横で吹き抜ける風を浴びていると気持ちが良すぎてそのままここで昼寝したいくらいの気持ちになる。
でも、奇妙な違和感が抜けない。僕は、ミニが好きだったのに、どうしてこう気持ちが昂らないのだろう。あ、わかった。全部BMWだ。そりゃあないよな。1台だけローバーのミニが駐車場の隅にあったがあれは従業員のだろうなあ。竹竿をいじった後だったのでそう感じたが、クロスオーバーは好きなクルマです。
帰宅後、竹竿の作者さんから取り込みについてレクチャーを受ける。わー、何かしでかしたかなと写真を見たら、何だそうやって取り込んでいるじゃんと、少しほっとした。
次回は、3番を渓流で使おう。使いやすいとの印象を聞いている。