白馬ニレ池など

代休で平日休みなのに雨がつきまとう。それでも、久しぶりに白馬の風に当たりたくて、ままよと、この雨雲が海沿いにかかっていると決めてかかって白馬に向かう。雨なら雨の過ごし方がある。
ニレ池に着くと、日差しはなく寒いが、幸い雨が落ちていない。朝方からほとんど降っていないという。ならばと、途中で買ってきたピザをかじりながら90分ほど遊ぶことに決める。ちょっとそれ以上は寒さできつそうだと思った。
フライマンが2人桟橋で。適当にかけておられる。みんなちゃんと投げるなあ。うまいものだ。焼却場側で一人。テニスコート側でもう一人。ゆったりと。取水は止まっているらしい。池には落ち葉も多いが、釣りの邪魔になるほどではない。魚はかなり浮きぎみだが、ライズはない。ミッジサイズがなにやら飛んでいる。
どうやら今日は大きさらしい。また、浮いていることが重要なようだ。グリフィスナットの#18をハイフロートにすると何とか釣りになる。先週の黒部川で使ったフライがパッチにそのままたくさんついていたので、順番に使う。水面にはいると相当に食いが悪い。これだけ魚の数がいるので、浮かべておけばいずれ誰かが食べる。それでは釣りとしてはつまらない。じっと見つめられて見捨てられるあの感じを克服するには、どうやらサイズと高さ。1回1回丁寧にドレッシングかけるとすんなりとくる。
そうやって遊んでいると、仲間といっしょにやってきたルアーの人たちがあんまり釣りをしないで話し合いばかりしている。そのうち一人が投げて、うーんとか何とか話している。どういうわけなのかな。エサ釣りエリアでは、70年配の3人の男女が歓声を挙げて釣っておられる。ウキが一向にピクリとも動かないので引き寄せては「エサ取られちゃったね」と話しておられる。よく見ると投げ入れた瞬間にエサは脱落。それでもちゃんと何尾かかかるわけで、いちいちわーっと騒いでおられる。あんな風に楽しめる老人になりたいな。そのうちに、魚の焼けるいい匂いがやってきた。食べながらも歓声は収まらない。
ルアーの若者はどこかへ行ってしまった。時合いを待つのか。いろいろな釣りのスタイルがあるものだ。
僕も傍目には変だろう。うんこ座りしている。あんまり投げないので、自分の影を水面に落とさないためと、見えにくいフライを水面近くからの角度だとよく見えるんだ。ろくに投げないし。ほぼ一投で一尾なんだけど、インターバルは長いしね。
ちょっと冷えるもので、おしっこに行ってそのままテニスコート側に。こっちの魚の方が圧倒的に元気がいい。青い背中のやつは、猛烈な速度で走るし、黒っぽくでかいのはトルクフルにうねりながら引いていく。銀色のは小さくてもばんばん跳ねる、走る。それぞれに魚にも個性や特徴があるんだ。
テニスコート側の方がサイズもいい。残り5分で何とか本日のベストをと狙ってその通りにやってきて、取り込んでリリースすると、残り1分。ロスタイムに入らずにきれいに終了。今日一番の大きさ。
案の定、手がかじかんでいる。指の痺れが取れない。
そのまま、和味亭で豚の天ざるを食べる。ここんちの蕎麦は、トルクフルな感じで、強い蕎麦だ。食べ終わっても指の痺れが収まらないので、バスターミナルの足湯で温める。しくじって、ズボンまで濡らす。秋も急に深まった。お湯がぬるくさえ感じられる。
そのまま、どこかの温泉に入ろうとか思ったけれど、まあ、いいかと猫鼻にでも入るつもりで車を出す。ところが、途中で急激に眠くなってきて、道の駅小谷に車を止めたらそのまま爆睡。約1時間眠ってしまった。時間もあるしいいやと思って車を出したら、この先のトンネルで事故があったらしい。運よく巻き込まれずに済んだか。
猫鼻のところで少し雨が落ちていたのでスルーしたが、トンネルを抜けると雨がない。そのまま、姫川温泉に向かう。
途中、平岩駅で少し撮り鉄






懐かしいな。ホームに立つと、あの辺に宝生スキー場の看板があったなあと思い出す。駅から歩くしかなかったが、何分て書いてあったかな。
橋を渡ると長野県に戻る。姫川温泉には、白馬荘と朝日荘があっていずれも昭和テイストを感じさせるレトロ旅館で趣深い。バブルが廃仏毀釈みたいに古臭くも生活臭や人の思いを感じさせる雰囲気を全部ぶち壊して、根無し草のアーバンテイストだけを寒く、イタク残してしまった現実を見た今、こういう昭和的な背伸び感覚をそのまま残した(残った)ものは、今や非常に貴重で、むしろ、そこに価値さえ感じる。
この裸電球の風合いだけでもそんな感じが出ている。

朝日荘のお風呂は、岩風呂。こういうのも流行ったなあ。男湯と女湯が中でつながっているもので、こういうのもけっこうあったんだ。ある時間だけは女性専用になるけれど、空間はひとつで、一応岩なんかで仕切られている感じにはなっている。
この頃の若いカップルは案外こういうの好きじゃないかな。時々、露天風呂でおじさんが恥ずかしくなるほどにして入っているのを見かける。江戸時代以前は混浴が普通というか、分ける必然性をもっていなかったというから、自然なふるまいなのかもしれない。
お湯は、硫黄臭があって塩分も感じて重曹風でもあるなかなか温泉らしさ満喫の名湯。湯温も十分で、湯量も豊富。隣に、立ち寄り湯ができるようで工事も完成間近であった。評判になるだろうなあ。本当にいいお湯です。旅館の前に吹き出しているし、鉄道も、川も、街の佇まいも、発電所の社宅も、いろんなものが一時代を忘れちまったように飛び越えて残っている。安らぐのは、自分の年齢ゆえと思いながら、みんなが何かに突っ走った時代の反省もちゃんと感じておかないと。

これが新しい立ち寄り湯。新しい風景にうまく生きていくといいな。
源泉脇には、どうやら足湯もできていた。露天風呂にしては開放感満点すぎるが、座りにくそうでもある。いずれにしても、立ち寄る機会は増えそうだ。