三峰テレマーク

感動的なスキーだった。
息子の部屋の掃除をしていたので、昼に近くなって、仕方なく今年はまだ行っていない三峰へ。
これが最高だった。
たぶん、積雪は来週はもう持つまい。ちょうどゲレンデの分だけ滑走できるのだ。しかも、数日前の雨がどうやら雪だったらしい。
山頂までシール登行。もちろん、革靴細板。クリスピースーパーに、ドロミテという最近お気に入りのレガシーな組み合わせ。
林道で、T先生に会う。百名山達成者である。南保富士から二王峰、雁谷へ回り込んだらしい。最近は山に行っていないと言う。これから部活とか言って足早に帰られた。
山頂まではブッシュも少なくないため、結局、登山道を切り返す。
少しお茶を飲んでひとしきり景色を楽しみ、レースを締め直すと下り。最初は勝手が分からずおっかなびっくり。次第に慣れると、実に爽快。オフピステは久しぶりだが、やはり、いいものだ。
下部まで滑るとすぐに折り返す。
折り返したシュプールが一人エイトになっていた。
ふと、中学校の頃、ここで見た祖父の姿を思い出した。ああ、あの辺に立ってボクの方を見ていたっけ。そうそう、少し笑みを浮かべて、テレマークで停止した。
青空からじいちゃんが降りてきてそこに立っていた。
景色が乱れてくしゃくしゃになって、いつの間にか、ボクは声を上げて嗚咽していた。
じいちゃん、やっと、ようやく、何とか、じいちゃんと同じゲレンデに立てたよ。
ああ、といつものように寡黙にじいちゃんは頷いた。
じいちゃん、ありがとう。昨日からの何かひっかかるものがどうでもよくなった。また、来るよ。