バカか

仕事で立山のことをプレゼンテーションすることになった。子どもたちを相手なので、少しわかりやすく、これまでの画像などを取り込んでみた。実は、初めてパワーポイントなどというMSなアプリを使った。それは実に簡単で、何と言うこともなく、適当に作ってしまった。もう少し面倒だった頃、こういうものを使ってマルチメディアタイトルを作って、ちょいとした賞をいただいたことがあるのだ。
そこで、さっそくいつも使っているクライアントにつなげてみると、何とプロジェクターに出力できない。どうやら、セカンダリーのモニタのドライバがないのだ。こういうことがあるとは知らなかった。それで、こういうのを担当している部署の人に来てもらったが、実につっけんどんな対応。それで少し興奮していたんだろう。やがて、別のクライアントでデータを再生していたら、同僚が「あんまり画像で紹介したら、山に行ったときの感動がなくなるんじゃないか」と言い出した。
バカか、お前は!
山は写真か。そんなものでは、風も光も満ちてこない。これは手がかりであり、安全に山を味わうための心の前菜なのだ。
子どもにいろんなことを隠してもったいぶって提示して、喜ばす授業をする教師がいる。まさしく、彼はそういうことを繰り返してきたのだろう。自分のからだで身につけた風景以外は、たいして本当の姿を感じられるものでもなく、想像は必ず現実を下回るのだ。それだから、体験とは大切なのだが、陳腐な画像をもってあたかもそこに行って来たかのような印象を持つことなど考えられない。それを平気で行ってしまうなど、彼を見損なっていた。