旧聞

事件としては旧聞になるだろう。十数年前にある事故があって、親しくしていた人を亡くした。その人が写っているであろうフィルムが未現像のままで放ってあった。何かを感じたのか今日になって現像をしてみた。奇しくも命日。
フィルムに何が写っていたのかは定かではないが、このまま捨ててしまうのも割り切れなかったので、中身をとにかく確かめたかったのだ。
現像してびっくり。
何も写っていなかったのだ。感光していない。
光が入って飛んでしまうことは、ある。
が、感光していないのだ。何も撮影されていない。
そんなはずはないのだが、亡くなった人の意志のようなものを少し感じた。
明日、庭で焼いて供養することにした。
気味が悪いというよりも、何だか、区切りが付けられるようにも思った。