ニレ池一日

内心、いやはっきりと焦った。
8時30分から釣り始め、9時過ぎまでヒットなし。そのうちに雨が降ってきて、1尾釣れてから合羽を着ようと思いながらなかなかそのタイミングが来ない。ドライでばんばんと思っていたボクがおかしいのだ。
何とか数尾上げたのち、ニレ池対策を施したニンフにすると何となく釣れている感じにはなった。
もともと待っている釣りが嫌いである。ニレ池でいうと、マーカーにぶら下げたニンフを流しておく、そんな釣り方には耐えられない。そうやっていれば、これだけ魚が豊富なのだから、100尾に1尾の魚が反応しても、数回流せばそのうちに釣れる。見込みと運に任せたような釣りではどうにも何のためにお金を出しているのかわからない。それで、一旦釣れても反応次第ではすぐにパターンを替える。基本的に着水で反応がなければそれで見切る。
ドライも#20くらいで出てくれるがそれは夕方に取っておくことにしていた。虫ではなく、どうやら流れ込んでくる小さな何かを銜えているらしい。
ロッドをマッキーズさんに作ってもらった1&ハーフに換える。これがなかなかいいロッドである。キャスティング性能も悪くないが、しゃきっとした少し重そうなロッドの形からは想像できないほどのしなり。3ピースのロッドが気持ちいいのはなるほどピースの真ん中で曲がるからか。1&ハーフの気持ちよさはそれと同じ。小さいものも大きいものでもストレスなく、スムーズに魚を取り込んでくれる。
圧巻は底でエッグを食った大物。ためにためて10分で寄せた。体高のある約50センチ。途中、リールシートの不具合でリールが脱落。慌てるも、その間ロッドが支えてくれる。
ニレ池対応のフライは反応よく、通常のものがまるで性能不足にさえ感じさせられる。まったく、魚独り占め状態が午後には生まれる。光も目映く、秋の空気に染まる。白馬三山の雲も切れた。途中、7Xでニンフ。水切れのよさでこれも調子よく釣れるが、さすがに数尾切った。
午後3時。日がかげってからは魚がいよいようわずってきた。ライズというわけではないが、ときどき魚が水面を食っている。まあ、#24かと思ってプレゼンテーション。ヒット。そこから午後6時の終了まで各地で1投1尾。結局、朝からそれで正解だったと思うんだが、それだったら飽きていたろうな。3時半からでも30は釣ったはずだ。
全く堪能した。朝の焦燥は嘘のようで、遠い昔のようにさえ思えたが、それとても釣り。魚の活性は高いがルアーには渋いようで、必死と放心を繰り返すルアーの人の端でぼこぼこ釣っていた。何となくボクの方に寄ってくるので、ポイントを空けてあげた。フライフィッシングはいい釣りだな。
ところで、今回は、フライを付けたままの魚を何尾か釣った。そのうちの1尾は、マーカーまで付いていたが、そのティペットの太いこと。控えめに見て3Xはある。それが切れているってのはどういうことだろう。エッグが付いていた。どうやらボクの成功の原因は6Xにもあるらしい。渓流のミッジで鍛えていますからね、6X#24を池で流すくらいはわけがない。それに、6Xなら全く切れる気がしないし、また、そういう取り込みをしているわけだ。魚のためには強引に引っ張った方がいいのかもしれないが、それでもテンションさえ緩めなければどうということはない。ちょっとそんなことも考えて後半は少し強引に取り込んでみたが、6Xなら40センチは全く問題なく引き寄せられる。ロッドにも問題があるだろうし、桟橋でご一緒したご夫妻はリールファイトをしたことがないと話されていた。ボクはニレ池の最初の釣りでネットがうまく使えず、そのため左手を完全に空けたいのでリールファイトを心がけている。手返しが遅くなるんだけど、それよりもドラグをきちんとティペットの性能をちゃんと引き出してみたいのだ。そのために、ディスクドラグの付いたリールも買ったしね。バテンキルだけど。
フライは大量に壊れた(笑)ミッジサイズを無傷で回収させてくれるような魚たちではない。また、ウイスキーでも飲みながら巻くとしよう。
来週は、このへんの川で。