舟見山パウダー

思い立って舟見山へ。低い山だが、一応スキー場らしくゲレンデがある。時々、地元の小中学生がここでスキーの練習をするらしい。ジープのエンジンを動力にした小規模なロープリフトもある。スノーシューで駆け下りると調子のいい傾斜だから、少しきついくらいか。2時間ほど遊ぶにはよかろうと出掛けることにした。
いつもは登山道の入り口に停められる車も、雪が多すぎてとても置いておけない。場所は大丈夫だが、除雪車にひっかけられる可能性がある。近所のふれあい温泉の駐車場に停めて、少し歩くことにした。もとより、歩きに来たので、厭わない。約1メートルか。
今日の道具は、ワークスティンクス。クリスピーのプラブーツの組み合わせ。まだ、シールがないので、スノーシューでハイクアップして上部の尾根からドロップする予定。
久しぶりのスノーシューだが、きつい。どうやら体がついていかない。この程度の山なら20分もあればと思ったが、50歩で立ち止まるような有様。だめだな。この1年全く運動不足。事務屋のときよりも動いていないぞ。それでも時間はあるので、林道をじっくりと歩く。どうやら一度除雪が入ったらしい。一度も締まっていない雪は、まったく、引きずるほどに重く感じられる。スノーシューは機動性に乏しい。今日の雪ならかんじきが良かったか。しかし、プラブーツとのフィット感はすこぶるいい。こんなにしゃきっとしているとは思わなかった。
約40分で尾根に取り付いた。水を飲む。ぐびっと数杯。食べ物は、忘れた。遺憾なあ、嘗めちゃ。眼下に舟見の市街地が見える。昔、ここに温泉があったときには賑やかだったらしい。町に向かって滑り降りるのはいいものだ。どこかに帰っていく、そんな感じだ。時々、海も見える。
滑り出しの地点でスノーシューをザックにくくりつける。本当はもうちょっと上間であるんだが、とても登る気にならなかった。165センチにしたのは軽量化を考えてのことだが、それでもファットに近い板は重い。ザックは板は付けやすいが、スノーシューには対応していない。万が一を考えてひもでくくる。
今年初めてのダウンヒルがパウダー。一抹の不安もある。スノーシューで膝までの雪だ。果たして調子よくいくのだろうか。そもそも、パウダーが苦手である。
その不安は滑り出しから全く解消する。すごい、すごい。まるで抵抗がない。しゅるしゅる滑る。好きなようにターンできるぞ。これだけ深かったらどうだ。内足でスプラッシュ!跳ね返りもいい。ショートターンはできるか。あっという間に、半分を下りる。気持ちいい。素晴らしい道具だ。これを長い間知らなかったわけで、全くもったいない話だ。道具一つでこんなに変わったのか、道具をきっかけに力が引き出せたのかわからないが、歴史的な瞬間に立っている気にさえなった。165センチという長さもそう問題ない。何しろ、このあたりの雨みたいな湿った雪でこれだけ浮くんだから、大抵のところは問題あるまい。
一気に田んぼまで滑って今日のところは終了。足のこともある。明日、動けなければそれまでだ。
林道までくると、あれだけつらかった平坦路をスキーは苦もなく滑っていく。スキーの機動性に脱帽。
いい遊びができた。