ちょっとひっかかること3題

今日、なぜか冬の野遊びで懸念されることが集中して現れてきた。
冬の活動で重要なのはフィールドと道具なのだが、道具を用いることでフィールドの現れ方が大きく異なる。また、フィールドを変えることで道具のおもしろさが変わってくる。そんな点について、3題の出来事が現れてきた。たぶん、当事者も読んでいるのだけど、指摘しておきたい。
一つ目は、これまでボクが少しかかわってきた仕事がほかの団体さんの指導になったこと。それ自体は、面倒もなくってそれはそれでいいんだけど、そのチラシを見ていると少々ひっかかった。スノーシューをするんだが、フィールドをうまく選べ切れていない気がする。というのも、指導する団体にスノーシューを指導したのが他ならぬボクで、だからどうだということではないが、スノーシューの最も楽しい味が出る使い方を外している気がするのだ。
スノーシューはかんじきとクロスカントリースキーの双方の利点を生かせる道具で、逆に、双方がもつ際立った特徴を味わいきれないという曖昧さもある。その曖昧さゆえに、フィールドをうまく選定しないとただただ重い道具を引きずって歩くだけになってしまう。スノーシューを使ってオリエンテーリングを行おうという内容になっているが、先行者のトラックが残り、また、グループで踏み固めながら進んでいくような扱い方は、曖昧なスノーシューの性格をいよいよ曖昧にしてしまう。
昨年、その団体でスノーシューを行ったときに、ボクがフィールド不案内だったために適切なコースの選択ができなかったことを悔やんでいる。下見の大切さだ。活動の目的や参加者のモチベーション、技量にフィットしているかどうかを現地で確認することができなかったのだ。全く団体さんには気の毒なことをしてしまった。あれをスノーシューの特性と思われたのなら、ボクに責任がある。
そう言えば、そのときの参加者がしきりにスノーシューがいいか、かんじきがいいか、クロスカントリースキーがいいかと気にしておられた。どれもいいんである。それに適したフィールドがあるんだから。
次は、下見のことで。これも少しかかわったある団体だが、施設の周辺を利用して野外体験活動を行うという。子どもの団体としてはけっこう厳しい内容で、ちゃんと下見をしてこられたらしい。立派なものなのだが、下見は当日の指導よりもはるかに難しい。ましてや冬の場合には、フィールドの姿が気象条件で一気に変わってしまう。そこらをどの程度読み込んでいくかも大切だが、最も大切なのは一日のなかでの変化。朝、昼、夜、深夜、ぞれぞれのフィールドの様子を風や光、特に移動時間や滞在時間の限界などを巧みに読み込んでいく必要がある。以前、息子たちの宿泊学習がここで行われて、クロスカントリースキーをやったのだが、ある先生が一度やったことある、というレベルで100人近い集団を指揮したという。何事もなく終了したそうだが、翌年、ボクが呼ばれた。ナビゲーターをして欲しいという。むろん、指導者は経験もある人だし、下見もしっかりとしている。それでも、誰か必要だというのだ。集団の指揮はその先生が巧みにこなされ、活動の先導をボクがやった。これも100名規模の子どもたちだったが、ルートの選び方が活動の正否を決定付けるようなものであった。施設の所員と以前から、こういう手はあるよねと話していたものを、フィールドの条件が合ったために適用できた例である。
今年、利賀少年自然の家で頼まれた仕事でも主催者が全コースの下見を行っていなかった。それを知らずに、こちらで出したアイデアを承諾されたが運用のなかでそれがうまくいかないことがわかり、焦った。嘘を付かれたわけではなかったが、活動のねらいとフィールドの状況、参加者の状態を重ねた判断が甘く、出発時刻があと1時間ずれるか、途中で問題が生じたらそれでおしまいであった。ある指導者は遅れた子どもをかついだそうだが、体に自信があっても100名の団体である。あと2人でもそういう子どもが出てきていたらどう対処する気だったのか。そして、何よりもそのことを問題と感じていない主催者に、少々苛立った。それで、夜の館内巡視は徹底しているのだからよくわからない。
3つ目は、この2つを合わせたようなこと。
これも今月末の頼まれ仕事だが、スノーシューの体験ツアーを指導者向けに実施したいというので、いくつかフィールドの候補を挙げて指示をしておいた。2日の日程を挙げて、どっちかということだったが、今日になって、その最初の日の午後という形で連絡があったが、企画者の人から驚愕の発言。
まず、スノーシューの予定が手配が付かなかったので、かんじきに。また、フィールドは雪が多いので、グラウンドで。まったく呆れてものが言えない。が、言わないわけにもいかないし、参加者にそれなりの期待感はあろうし、指導を頼まれたボクのせいにされるのもかなわないので、いろいろと可能性を提示した。素人ではない。生涯スポーツの専門家である。いくつかのフィールドの情報を提示したが、あちらで決めて案内を出すという。非常に不安。バスケットゴールしかないところでバレーボールでもやろうというのか。その人の仕事こそ、フィールと道具、参加者と指導者をつなぐコーディネートが仕事なのだが、一体どうなっているのだろうとかなり驚いている。グラウンドでかんじき履いて走る、それのどこにボクが参画できるメリットがあるんだろう。さては、城端町のかんじきマラソンでもイメージしたか。もっと相談してくれればいいのにと思うことが3つ重なった日である。
とは言いながら、ボクにそんな力はないしなと3番目以外は当事者的な関与もできないので、書き殴って他山の石とした次第。自分自身、忘れないでおこう。