忍野八海

画像は、忍野八海の観光地の核心部。
忍野に行こうと決めたが、現地調査を何にもしてこなかった。研修施設にもネットくらいあるだろうと思ったが、全くそうではなかったので、とにかく宿舎を出て、富士浅間神社に参拝。そこの休憩所で甘酒をよばれながら忍野のことを聞いたら、「今日は、すごく富士山がきれいなのであっちでもとてもきれいに見えるよ」と言われ、何となく釣りはいいかと思い始めて、何でもいいから忍野八海に行くことにした。
途中、富士吉田道の駅のところで間違って山越えのルートを使う。どこでも、うどんとそばがあり、何でも吉田うどんがうまいらしい。あとでどこかで食べようと考える。
忍野村に入ると、おさかなセンター水族館とあり、そこへ向かうと、フライやらルアーの人がたくさん川に入っている。水族館の駐車場で釣り仕度をしている人に遊漁券のことを聞くと、対岸のうどん屋に売っていると教えてくれた。さっそく、購入することにしたが、ボクのイメージにあるスプリングクリーク桂川とえらく雰囲気が違う。狭い川のなかをどろんとした水が漂い、ところどころで、虹鱒の姿がかなり濃く見える。ときどき、ライズもあるが、取っている人はいない。フライ、ルアー専用区間でそれなりにプレッシャーもあるのだろう。10mに一人釣り人がいるので、どうやってそこに割り込めるのかがわからない。一様にキャスティングは上手で、道具も#3くらいのきれいなロッドを使っている。
うどん屋は民家に見えるが、そこを店舗として使えるくらいに大きい。奥に、コンクリート製の倉庫があり、その1階でメルセデスを熱心に洗っているのが亭主か。こちらに気付きもしないでうどん屋には似つかわしくないクルマにご執心だったので、何となくここを離れることにした。
国道に戻ってしばらく行くと、村営の駐車場。駐車場から見る富士もすばらしい。クルマを止めると、すっかり観光客。沿道に土産が並ぶ。路地に入るとその密度は急激に高まっていく。もうすぐ、核心部なのだろう。まわりは、中国弁。聞き取れない。おそらく、本土ではなく台湾だろうと思えるのは、子ども連れも少なくないからだし、英語もたまに混じる。
この観光路地がいい。売っているものがいいのだ。観光地の定番もあるのだが、草餅を焼いて売っている。100円。買ってみる。うまい。草は新鮮で、餅も出来立て。餡も小倉でたまらない。見ると、焼いている後ろの部屋で手作業で作っている。味噌入りもあるようだ。そば粉や山菜も並び、アブラコシは思わず買いそうになった。手仕事の見えるものは無理しても買ってしまう性質がある。
5分ほど歩くと、ああ、ここだ、ここだ、テレビの旅番組で出てくる奴。いろんなお店に囲まれる形で大きな池があり、虹鱒が泳いでいる。中で富士山の水が出ているが、どうやらお金を取って入場しないといけないらしい。しかし、富士は絶景。ニレ池ほどの場所は、300円払わないと見えないようだが、もとよりそういうのはいいので、ほかの池を見て回る。いつか、フライの雑誌に出ていたレイク忍野もあった。野仏が玄関前に並んでいた。この頃には、もう何となく釣りをあきらめていて、観光客としてふるまう。
コーヒーを飲もうか、そばにしようか悩んで、一杯200円と書かれたそばを注文。安いのは、もともと製麺業者の店でいわば試食販売なのだ。店頭で草餅を焼いていたのと、髭面の店主が釣り場の情報くらいもっていそうな気がしたのだ。冷たいそばを頼んでみると、みそ汁くらいのお碗と思っていたボクがどうやら状況を間違えていることに気付いた。多くの店が「試食無料」の看板を上げている。甘酒と同じである。何かで釣って、それでものを買っていただく手なのだ。とすると、200円は比較的高級品。いっぱしのそば。富山県地方のそば屋で食べると平気で500円は取る。しゃきっとして、素麺にそば粉を錬り込んだような食味。辛子味噌を入れるとなかなかいける。が、4日間の宿舎の食事のことをすっかり忘れていた。味が濃い。濃すぎる。飲み干せない。情報をいくつかもらったが、少し残した。ごめん。
江戸屋という肉屋の方でもけっこう釣っている人がいるという。鯉の釣り堀があるので、その横の川だということだ。(実は、ヘラブナヘラブナ富士五湖の産だそうだ。精進湖にそう書いてあった)さっそく見に行ったのだが、5メートルほどの川に黒っぽい虹鱒が泳ぎ、水は湧水とはいいながら、すでに生活用水にまみれていた。何となく気持ちが向かないので、そのまま村内を徘徊したが、どうもいい場所もなく、結局、忍草内水面漁協が設置した駐車場と書かれた場所に入る。小屋に書かれた電話番号に報せると、おばちゃんが自転車でやってきて「昨日、放流あったみたいだから、お客さん、魚は入っているからね」と言って帰っていった。
ウエーダーを履くほどの場所もない。用水の脇みたいな場所を歩いて釣るらしい。キャッチ&リリースと書かれた区間には、どうしたものかそれぞれ2人連れのフライマン。女性に寄り添って教えている人もある。魚はときどきライズしているが、透明度の高い水にもなかなか捕食の様子を伺うにはあまりに何気ない水底で戸惑う。読めない(笑)これまでの経験を生かすにもなあ、これじゃ、わからないや、と不勉強を悔やむ。
適当に泳いでいる魚の頭にねらいをつける。#18のシマザキATダンなら反応は見せる。7Xにしてやると、まあ、適当に反応がある。ニレ池での学習で、このくらいのサイズでもそこらに泳いでいる40センチクラスなら取り込める。まあ、直に一匹かかるだろうと思ったのだが、フッキングに到らない。ドラグがかかっているのはわかっているが、川にかぶった樹木のためプレゼンテーションにトリックかけるのは難しい。それで、フライサイズを落とした。#24、7X。ニレ池と同じかと思ったときに、うーん、昨日放流された魚が大量にいるってことは、まだまだ川の「人」になりきれてない。つうことは、何かそういうのかと思ったが、あまりに品がないので、そこらを舞っているガガンボパターンを意識したり、ピューパでやってみたりしたが、そろそろ時間。夕暮れまでに富山に帰りたい。それで、禁を解いた。エッグである。
赤は何となく何なので、黄緑のエッグに約1mのところに、粘土浮き。中間よりも少し下にカミツブシ。ニレ池でとにかく釣りたいときの仕組み。魚が溜まったところに流し込むと、しばらく川にいた連中は見向きもしないのに、最近の住人は狂ったように追いまくる。で、あっさり1尾。うーん、ここまできてこれか。案外、気持ちはよくない。しかし、だれも釣れていないので、こんなものでもいいかと(笑)アタリはぼこぼこ。偏光グラスを忘れたので、食った瞬間が見えない。そうでなければ、もっともっと釣れたが、それで満足したかどうかはわからない。2尾目をかけるまでに10分ほど。ぼろぼろの雑巾マスにいろんなものが崩れてしまった。
午後1時30分。道具をしまって、富士五湖道路に向かう。富士は相変わらず広い裾野をよく見せている。河口湖から高速道路に入り、やがて、北岳八ヶ岳穂高、常念、北信五岳(斑尾山妙高山黒姫山戸隠連峰飯綱山)、そして、頸城の山々、最後に後立山立山連峰フォッサマグナに沿った山々を眺めて帰ってきた。
うちの川が、やっぱりいいな。ウーさんでもね。吉田うどんも食べた。肉とニンジン、キャベツをのせた太麺、しこしこ麺だった。けっこう、好み。