ねじ式

浅野忠信が主演した「ねじ式」がGEOにあったので、会員登録して借りてきた。

ねじ式 [DVD]

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竹中直人が作った「無能の人」が映画っぽいつくりであったのに対して、こちらはむしろつげ義春的世界の再現に努力を払っていて、その意味では映像化によく成功していると思えた。
浅野のツベ氏は雰囲気があり(そういう役作りをしているわけで)、台詞や仕種をよく描いていた。
物語はオムニバスとも連続とも思えないように唐突につながっている。いくつかの物語を組み合わせていて、それぞれが原作をよく表現していて味わい深い。
最初の話は、「別離」。ボクは、「一回きりならゆるせると思ったが、四、五回ではもうダメだと思った」の台詞が好きで、ボクがもつ印象通りに表現されていた。国子の藤谷美紀はこの人の演技で初めて感心して見ていた。睡眠薬を飲み自殺を図ったツベが看護婦に介助され放尿するシーンでは、看護婦の藤森夕子に思い切りかけていた。キャスティングが実に適切。
次は、「もっきり屋の少女」。何という女優さんかは知らないが、原作通りの雰囲気で、ちゃんとお乳も出してがんばっているチヨジがよい。もっきりやもよく再現できている。
そして、「やなぎや主人」。最初のシーンのヌードスタジオの女性も、また、やなぎやの娘も、いい雰囲気なのだ。こういう再現ものは、キャスティングにつきる。しっくり感じれば、楽しめるし、違和感が残れば、あるいは、事足りなさがあれば、そのまま作品の質を落としてしまう。
最後が「ねじ式」。これを映像化するのは、冒険である。が、うまくいった方だろう。清川虹子のおっかさんがよいし、女医さんもスケベな感じが出ており、ちゃんと「○×方式を応用したものです」と話す。
こういうものを100円で借りられるというのは、文化の豊熟とみるのか、安売りと感じるのか、どっちにしても経済的には有り難いことだ。