天国と地獄

黒澤明の「天国と地獄」を見た。おもしろい。戦後の階層社会、成り上がり、ものづくり、当時の新しいメディアがよく網羅され、現在の刑事ドラマの定式も現れる。そういう、何か高慢な見方をしなくても、エンターティメントとしてよくできている。

天国と地獄 [DVD]

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印象的なのは、誘拐事件に翻弄される靴会社の重役が自ら鞄に細工をするシーン。そして、禁断症状に侵される陋巷の光景か。それが、浅間台の住宅とその下に広がる市井の風景に重なって光にまつろう陰翳を作っている。
これを100円で借りられるんだから、いい時代だ。文化の安売りか、リサイクルか。古本に似た楽しみがある。