北信越BCリーグ@桃山

2度目の観戦。今日は、ナイター。そして、後藤率いるアルビレックスとの対戦。お友達の夫婦といっしょにネット裏で。少し肌寒い。今にも降り出しそうな雨も何とか持ちこたえそうだ。
お客さんの出足は少々鈍い。桃山の5月は冬装備である。高校野球でここを使う人たちはみんなそう知っている。それでも、1000人近く入ったか。8000人入れるスタンドが、欽ちゃん球団のときはいっぱいだった。野球観戦ではなく、それは芸能興行だから、それと比較しちゃいけない。
サンダーバーズはここまで首位。大崩しにくい手堅い戦いを展開中。打線が好調で、先発さえ崩れなければ、中継ぎ、抑えが安定しており、そのまま戦いをものにできる。鈴木監督がもともとどこにいたのかをはっきりと感じさせる。
この日は両先発が安定。先取点をサンダーバーズが取るものの、その後、膠着した展開。勝負は、先発に変化が生じる7回以降に思われた。野球を9回にした人はだれかは知らないが、実に感心させられる。7回までもつ投手はいくらもいるのだが、残り2回をちゃんと投げられる人がスター選手になっていくのだ。ダルビッシュや黒田の凄味はそこにある。ノンプロか、マイナーレベルのこのリーグではまさしく、7回に局面がやってくる。
5回終了後、新聞でおなじみのアルビレックスの代表が顔を出し、糸魚川のチームの子どもたちとグラウンドに並んだ。今日の招待選手らしい。AEDプロジェクトと名付けられたもののキャンペーンらしい。
糸魚川のある小学生がグラウンドで倒れ、そのまま心不全で亡くなった。その子のお母さんとのことで、まだ、幼い妹も入っているチームの仲間、そのときいっしょだったチームメイトとともにグラウンドに立つ。シリコンバンドを500円で売り、その売り上げのすべてをAEDの購入に充てるという説明があった。アルビの代表は、そのお母さんが子どもがプロ野球を夢見ていて、さらに、どうして新潟にはプロ野球がないのかと書いてきた。BCリーグの立ち上げには、その気持ちが含まれているのだと説明する。そして、富山でもどこかの試合を見たいと話されるので、一番糸魚川に近い桃山を選んだという。昨年は黒部市でもバスケットの練習中に小学生が亡くなっている。AEDがあればkならず助けられるものでもないが、確実に救命機会が高まる。広がるといいな。6月にアルビ主催ゲームが、その子が亡くなった美山球場で行われるという。ぜひ、行きたい。アルビがどんなホームを見せてくれるのか。サポーター、ブースターで先行するアルビレックスとその土地の風景を見つめたい。
ゲームの展開はまさに7回にやってきた。かろうじて持ちこたえてきたアルビレックスが守備の乱れに長打が組み合わさって崩れ、サンダーバーズの中継ぎ、抑えが完全に機能し、そのまま7対1で終了。首位キープである。
この日はスタンドに変化があった。スタンドには戸惑いがある。どう応援していいのかわからず、それはそれで静かにプレーを見つめる状況になって、緊張感のあるボールパークを演出してくれるが、盛り上がりというあんまり好きでないことばにとっては、どうもきつい。そういうものを期待してやってきたお客さんには物足りなさを感じさせられるわけだ。今日は、どうやらYKKAPのサポーターの人が太鼓を持ち込んだらしく、サッカー風のものもあっておもしろいと思った。サッカーでも数少ないサンバ隊でやっているAPだから、そういうものが絡んでくると地元として特徴が強くでてくる。かつて、マリーンズの応援を変えたのはFC東京のサポーターだったし、ファイターズの応援を支えたのはもちろんコンサドーレである。マリーンズのタオル振りや、ファイターズの震度3級の稲葉ジャンプはまさしくサッカーとのつながりで生まれた独特のスタイル。サンダーバーズでもそんなものがあればいいと思っていたが、なかなかみんなが慣れていない。音頭取りがいないからだ。
そこに現れたのがアイランドリーグの人。どうやらある選手の応援に来たらしい。このおじさんがしきりに音頭を取り始めて、スタンドが変化してきた。野球場らしくなった。その勢いに合わせて、7回、8回、9回と終盤の3イニングを完全にホームの感覚で乗り切ってしまった。何とかなるのかなと感じさせた瞬間。
試合終了後、アルビレックスのバスの横で後藤を待つ。糸魚川の子どもたちがみんな待っている。選手の顔を知っているらしく、私服になっているのにサイン色紙を差し出している。それなりに追っかけの女の子もいたりする。こういう風景が生まれていることに少し感激して、後藤が子どもたち一人一人に丁寧に対応しているのを見て、もうひとつ感激した。この人はいつまでも野球少年の星である。明日、アルビレックスの帽子(なかなか格好いい)を糸魚川まで買いに行こう。
アルペンスタジアムのような場所はともかく、桃山などでは選手名表示がなく、球速表示もない。高校野球はその場のプレイを楽しむものだが、プロは選手の技、キャラクター、物語までを含めて楽しむものである。それに必要なアイテムが少しずつ整っていくといいと感じた。
歓喜する後藤の姿を、次男といっしょに見たいものである。
観戦の次戦は、25日の宮野かな。楽しみが増えていくのはけっこうなことだ。