MVP、村田しかない

WBCはできすぎた結末。世代交代を思わせる連覇。何が侍チームを変えたのかというと、村田の怪我である。
北京五輪もそうだったが、村田の4番はチームコンセプトからどうしても遠ざかる。スモールベースボールを目指しているのに、奇妙な巨大艦信仰のように4番には長いのをうてる奴を据える。その発想そのものを変えようと言うのがスモールベースボールなのに、基本コンセプトを曖昧にしてしまうちぐはぐ。それで大切な守備に大穴を開けている。そう下手ではないとかいいながら、9回2アウト満塁でサードゴロが飛ぶような局面でも同じプレーのできる奴なのかってことを問うているわけで、守備率なんて基準ではない。
今回のラインナップも右の大砲という大和信仰がどうしてもぬぐえなかった。松井を招聘できなかったところであきらめていたはずなのに、やっぱり、4番には村田がいた。それでもって適当に打ったりするのでいよいよ曖昧なコンセプトが曖昧なまま履行されていった。そこへ怪我による離脱である。侍は白刃の下をくぐり抜けるようなものになった。
現代野球のキーは、1番、3番である。ここにちゃんと収まれるものと、2番さえこなせる能力が高いレベルでのチーム戦術を支えている。打順を見るがいい。すべて3番打者を十分にこなせる。城島だけが異質で、その城島が機能し始めると、いよいよ打線が動き始める。誰が出ても1番になり、次打者が2番になり、3番打者で返す。残った打者走者が1番になり、という具合に連続していく。1塁、3塁の野球でもある。村田離脱後は、完全にチームコンセプトが機能してきた。
となると、やっぱり、MVPは村田である。4回2/3で98球の勝ち投手なんて馬鹿げた野球をやっているメジャーリーグの超2流なんかにやるべきではない。35歳イチローも、これが花道。完全に世代が変わってしまう予感がある。
ところで、もっともっとほめていいのは、杉内だ。すばらしい。がんばれ、内海。また、内川は新しい右打者である。青木の打撃とともにもっともっと語られていい。
そういうスモールベースボールを、槙原と清原が解説しているのも皮肉な話だったなあ。