JRCトレセン

なんの略号かなかなかピンとこないけれど、ジュニア・レッド・クロス。青少年赤十字のことだ。
赤十字という活動をキリスト教と結びつけて考えている人は少なくない。あの十字のマークのせいだろうと思う。これは、赤十字活動の発祥に大きな貢献のあったアンリ・デュナンの故国スイスの国旗を反転させたものなんだけど、やはり、イスラムの国からは少々いぶかしい空気もあって、そういう国では赤い月、赤新月を使い、また、ややこしいイスラエルは、レッドクリスタルというマークを使っている。いずれにせよ、人道支援が最大の目的で、むしろ、宗教や思想、政治などに偏らず活動するのが赤十字活動。
その精神を受け継いで子どもたちの活動に広げているのが、青少年赤十字。各地で実践はあるものの、リーダー研修会にあたるリーダーシップトレーニングセンターに参加させてもらった。いろいろな学校から小中高の子どもたちが集まり、2泊3日で活動を繰り広げる。そういうのをいくらもやってきたけれど、赤十字の精神が背骨になっているだけに、なかなかおもしろい。
数年前に、全国的な研修会に参加して、何もわからぬまま自分がこれまでの仕事でやってきた「本丸ワーク」みたいなことをもとに活動してみると、自分の中で通用することと限界がよくわかって、その後の活動の大きな転換点になったと思っている。何よりも背骨の大切さを身にしみた。
今年は、大震災のあとということもあり、赤十字活動へのリスペクトはいよいよ高く、参加する子どもたちのモチベーションにもなっていた。
こういうのに参加すると、すごい子どもがいるものだなあと感心する。ホームルームの司会をまず始めに買って出たのが5年生のMくんなんだけど、緊張しながらも一言二言の指示でしっかりと展開していく。何より、あいさつから始めて、何をするかをしっかりと伝え、「よろしくお願いします」と付け加えている。すごいなあ。ちゃんとそういうことを学校でやっているということだね。事前に書いている文章があってもだれもそれを読まずに、そこからことばを沸き起こしていく。こんな力を、これからの教育では求めているんだな。
いくつか助言というのかまぜっかえすのがボクの仕事。宿泊場所をいろいろまわってちょっとしたアイデアシートを作り、掲示板に貼っておいたら、すぐに反応した女の子がいた。そのレスポンスの速さはたいしたものだな。コール&レスポンス。いいジャズミュージシャンになれそうなくらいに反応が素早い。
夜のホームルームまで滞在して、みんなとわかれた。わかれぎわに、Yさんが何か言いたげだったが聞かずに立ち去った。
かけられなかったことば、伸ばせなかった手、聞いてあげられなかった心。そういうものを残してこその体験だ。成功だけでない。そのとき、話せなかったことばの方がいつまでも残るものだ。