郷土の先輩

ある原稿で少々地元の山々について調べているが、いくにんかのちゃんと評価しなくては行けない人の名前が出てくる。
まずは、塚本繁松。ネットで検索したらボクのサイトが出てくるくらいなのだが、この塚本繁松がいなければ、黒部の山々がここまで知られていたかどうか。その割りに知られていない。ボク自身も日本山岳会の重鎮であったことを知っていること、日本電力の測量隊に参加していること、冠松次郎を黒部に促した張本人であること、母の里と同じ出身地であること、母方の祖父、父方の祖父の双方に親交があったこと。その程度である。
次に、深井三郎。やはり同郷の、こちらは学者である。古本屋で発見した1冊の本があるが、自然・社会の両面から、そして、文学的に黒部にアプローチする研究は再評価に値する。あまりに、彼の研究や考察が一般化されていない。
そして、湯口康雄。山の先輩でもあり、また、恩師の一人でもある湯口の仕事は、登山者としての、また、文学者としての切り口をふんだんに盛り込み、単純で洗練された修辞はむしろ大きな想像力と風景を呼び起こしてくれる。
原稿のなかでは、地元のスキーに興隆、自然体験活動に尽力した小川弥一。また、越道林道の仕事をした金山三郎などを取り扱っている。もっともっといろんな先輩がいるはずなのだ。
あまりに、ボクらは先輩を疎んじてしまっている。記録は人の生きざまだったはずなのだ。