イワナ系統性

キャッチした2尾を観察すると、まだまだこんなことが行われているのかとため息が出た。放流量が多いので釣れるのはけっこうだが、これではいけない。ブラックバスよりもひどいかもしれない。見えないうちに進行しているし、境界が不明確で気が付くと全く元には戻れなくなる。
というのは、釣っている間にも気付いていたが、放流イワナの系統性がデタラメである。キャッチしたものは、小さいのがアメマス系の白点の大きいもの。大きいのは燈色の斑点のあるもの。昨日釣れた小さいけれどよく引くものは虫食い模様のブルック系のもの。これが大型化し、強烈に走るイワナになっている。この川本来のイワナは色白で頭が小さく鰭が大きい。水系や系統を無視した無差別放流である。本来、この川に伝えられた遺伝子が最もこの川に適しているはずである。遺伝子の交雑により系統だけでなく、魚そのものの生命がここに適さず廃れてしまう可能性もあるが、それを放流でごまかそうとしているのかもしれない。
よく知られていることだが、日本海側の各河川でアマゴの姿が見られている。どうとも思わない人もある。
日本のどこに行ってもマクドナルドがあるといったレベルの話ではない。文化侵略は人の世で済むが、時代や世代、空間さえ超えていく営みの変容であり、破壊である。リリースしない方がよかったりして。