金沢

どのくらいぶりだろうな。金沢に行ってきた。なんやかやであまり時間が取れないので、大雨を覚悟して、それでもお盆の15日だから少しは人も少なくてよかろうなどと考えて出発。案の定、県境で猛烈な雨。風もなく、おそらく時間が経つほど雨量は増す。
約1時間30分で、兼六園下まできた。雨の中なら上出来。
お目当ては、金沢21世紀美術館。広坂と本多町の間にできた円形の現代美術館。記憶をたどってみると、そうか、金沢大学教育学部附属学校があったんだ。芝生に囲まれた円形の平屋はそれ自体が美術品。20年前に、富山県立近代美術館ができたときの衝撃には及びもつかないが、観光地、金沢にはなかなかお似合い。
ちなみに、富山県立近代美術館瀧口修造が監修している。
今、ちょうど、なかなか難解な企画展をやっていて、なんだか大がかりな割には今ひとつインパクトに欠けるというか、たいそうに見せる典型的なアートで、少々鈴木清順の影響なども感じながら、拝見した。マシュー・バーニーとかいう人のもので「拘束のドローイング」という映像や造形などの創作である。金がかかっている。どうも金がかかりすぎるアートには少々困惑する。
どの部屋にも、ガイドボランティアがいて、子ども用のガイドも付いているが、その手引きがかなり陳腐。もっと、見たままでもいいのに。それでも、まあ、こういうのがたくさんの人に受け入れられるだけ時代はおもしろくなっているか。
時々、それっぽい学生がいて厳しい視線を向けている。現代芸術というか、前衛というか、こういうのが好きな女の子は大抵痩身で着飾らないけどセンスがある子が多いように思いこんでいて、実際、その通りだったりする。
一番おもしろかったのはミュージアムショップで販売していた切腹女子高生Tシャツ。ほんと、そういう絵なんだ。欲しかったが、これは着るものじゃないなと思ってやめた。キース・ヘリングやウォーホルでいいや。(←ユニクロ500円)
建物はおもしろいなあ。今後、どうするんだろうと思うんだが、ボクはインスタレーションのようなものが好きで、例えば、ネイチャリングでも、コーミング・アートなんていうインスタレーションのアクティビティをしばしば好んで使っているわけで、そういう感じに発展するといいなと思う。上下の視界を切り取られた内側からの風景がパノラマ写真を思わせて気持ちよかった。
レストランでパスタを食べようとも思ったが満員。空腹には勝てず、外に出る。どこがいいかなと思いながら、広坂の通りから柿木畠へ入る。ちょっと彼女との思い出がある場所だ。すぐに、もっきりや。ここにしようと入り、ピザを食べる。重厚な響きのジャズを聴きながら、スイングジャーナルなどを読む。こうやって街を歩くのが好きだったな。あとは、古本。うつのみやに寄ってから来るんだった。女性ボーカルがデキシーに変わった。うーん、そんな人に思われたか。
そこから近江町市場へ。雨の裏通りを歩く。残念ながらお盆でけっこうな界隈が閉まっている。人気の寿司屋は3時だというのに長蛇の列。みんな、るるぶなんかを手に持っている。人気があるんだな。歩いている人もたくさん。いい観光地は人が歩く。
そこからとって返して竪町へ。渋谷風の界隈。近江町と全然違う人々でにぎわい。いいお茶屋さんを発見して、番茶を買う。
番茶は誤解されていて、あの茶色の安物お茶と思われているが、紛れもない緑茶で、煎茶の若葉を摘んだあとのやや堅めの葉を使ったものをそう呼ぶ。茶葉の種類であって、煎茶とかほうじ茶のような製法によるカテゴリーが違うんだ。多くの場合、ほうじ茶で呑むようだが、煎茶にしても、品質は劣るもののなかなかよい。今回は、1番茶という番茶の定義に合わない茶葉を入手。以前も京都の土産で番茶を買っていったら「安物」と思われて少々悔しい思いをした。100グラム1000円もする番茶だったんだけど、薬罐で煮出されてしまった。ゆっくりと楽しむとしよう。
もっともっと寄り道がしたくなったが、今日はここまで。道に迷いながら駐車場に戻り、金沢をあとにする。帰り森本インターを使おうとしたが失敗。大渋滞に巻き込まれた。
ゆっくりと、また、行きたいな。淺野川の界隈もきれいになっていた。路地の味わいとでもいうのか、都市が生んだ空間でありながら疎まれていく闇のような場所に、人のほんとうの息づかいを感じてみたい。
金沢21世紀美術館
富山県立近代美術館
サイトのことで言っておくと、ドメインも取れない富山県立近代美術館はパブリッシングの段階で負け。がんばれ!