鍋でご飯

キャンプに行くと決まり切って野外炊飯なんかがあって、釜で炊いたり、飯盒を使うことが少なくない。野遊びにとって専用の道具というのは実に不都合が多く、また、米を炊くのは水もたくさん要るので実はあんまり歓迎していない。同じ水でもラーメンやパスタの方が、炭水化物の摂取には都合がいい。しかし、どうしても、飯を炊きたい場合もないわけじゃない。このときにどうやって飯炊きをするかに野外活動のおもしろさがある。
学校のキャンプでは何とも奇妙だが、生活体験としてのプリミティブな台所仕事を強いられる。コンロも、調理用具も十分に揃っていないところで慣れない台所仕事である炊事を強いられる。その不便さで普段の便利さを思い知れと言わんばかりに惨く、切なく、冷たい仕打ちで、子どもたちはわけもわからずうまくいかない食い物を我慢して食べるのである。いや、それが目的ならそれもおもしろい。ままならぬを知るのである。そこから野外活動への視点が生まれる。生活の根拠を知る。だけど、多くの場合、そこで終わり。
飯盒なんかは実によくできた道具でいつも感心する。あれひとつで何でも調理できるのだ。それはそうで、元々兵器である。直接人を殺したりはしないが、戦闘員を養う道具なのだ。とことんまで合理的にできているし、命がけである。だけど、それは学校やキャンプで飯盒炊飯をする理由にはならない。おそらく、ラジオ体操と同じように戦時中のなんかの働きかけで普及するんだろうが。
大体、ご飯なんて鍋でも十分に炊けるんだけど、そうは思ってもらえない。
何でこんなこと書き出したかというと、昨日、米の量を間違えて炊飯器で炊けないのに研いでしまった。そこで余ったものを鍋で炊いたのだ。先日の「クロワッサン」でも紹介されていたが、以前ゆうさんから聞いた3377という方法で、20分もあればご飯が炊ける技で、鍋で十分においしい。お焦げも出きるので、その方面の愛好者には堪えられない。
手順はこうだ。

  1. 米の量に合ったお湯を沸騰させる。
  2. 沸騰したお湯に研いだ米を入れる。
  3. ふたをして3分煮る。
  4. ふたを開けて、全体を混ぜて、そのまま3分煮る。
  5. ふたをして7分煮る。強火でやればお焦げもできる。
  6. 火を止めて、7分蒸らす。

これだけ。けっこうおいしいご飯になる。
生活の中にあるものを野外でも再現するなんてのはどちらかというと難民キャンプのやり口でそうでもないと長続きしないのだが、お楽しみの野外生活はできるだけ工夫と知恵で意外なアイデアから別の生活の風景を見つめたい。
それとも何かな、儒教的な約束とかでもあるのかな。何とか楽してうまいものを十分に食べたい。そういう味わいと楽しみが好きなんだけど。
ひろぴょんにもらったダッチオーブンがデビューを待っている。来週の週末外でチキン丸ごとライスでもやろうか。