またまたスキー場の話

昨年、合併して誕生した糸魚川市にはシャルマン火打とシーサイドバレーという2つのスキー場があり、いずれも何らかの行政の関与によって成り立っている。
シーサイドバレーは、百名山雨飾山を望む立地で、スキー場からは日本海も間近に見渡せるというロケーション。海に近いことから標高に似合わない豪雪地帯で、海岸線からいくらも入らないのに、10分もするとみるみる積雪が増えていく。湿り気の多い雪だが、それはそれでおもしろく、空いていることもあって、お気に入りの場所のひとつだ。開場当初はナイター施設もあったのだが、スキー場の拡幅によってしばらくナイター営業を止めたところにバブル崩壊。拡張計画も頓挫したままになったが、それでも変化のあるコースと雨飾山などの頸城山塊の眺望は、ローカルなのんびりした雰囲気と相まって、固定ファンも少なくない。
一方シャルマン火打は、豪雪で知られる妙高村から大毛無山を越えた西側。焼山や百名山に数え上げられる火打山などを間近に仰ぐ斜面に8年ほど前に作られたゲレンデ。ここの積雪はすさまじく、圧倒的であり、それに加えてコースがほとんど山を楽しむように作られている。それでいてパッキングもしっかりしていて、最近のスキー場のコンセプトによく合った個性的な作りになっている。
どちらのスキー場もふもとにぞれぞれ糸魚川温泉と柵口温泉を抱え、姫川、能生川と素晴らしい流れもある。20分ほどの河口部は日本海で、新鮮な海産物も豊富だ。要するに、よく似たスキー場で、これまではライバルだった。しかし、市町村合併がその様子を変えた。両方をどうやって生き残らせるか。課題はそこにある。
その一つの答えが、シーズン券についてくる特典である。シーズン券は顧客の囲い込みの方策の一つで、安価な価格で早期に客を集めてしまうにはかっこうの手段で、地の利のある人やリピーター需要を見込んだものだ。すなわち、シーズン券を買うことは他のスキー場に行きにくくなることでもある。
シーサイドバレーでは、以前からもスーパーシーズン券として、サンアルピナ鹿島槍と共通のシーズン券を用意していたが、今年からは、シーサイドバレーのシーズン券をもっていればシャルマンの1日券が1000円になるサービスを展開する。(その逆については現在確認中)もともと割安な家族券や子どもを混ぜたグループ券などで驚くほどの価格を設定しているシーサイドがこういう方法に出たのはおもしろい。できれば共通化してもらうとうれしいところだったが、それでも数歩前進したようにさえ感じる。
しかし、それもシーズン券のレベルなので、一般のリフト券でも何かの展開があることを強く望む。例えば、シャルマン火打では日曜日の小学生は完全に無料。シーサイドバレーでも大人が付いていると子ども分は限りなく安くなる。そうやって、子どもたちがスキーを楽しむ機会を広げて、同時に、かつてスキーをがんばっていた世代がもう一度スノーフィールドの楽しみを思い出してくれるような取り組みもいいと思う。
シーサイドの周辺は、実はスノーシュークロスカントリースキーにかっこうのフィールドだ。アスリートなやり方ではなく、ネイチャリングの一つのアクティビティとしてあのあふれる柔らかでふっくらした温かい独特の雪を楽しんでもらえるようなスキーエリア作りに進んでもらいたいと思う。