仰木さん逝く

さっき、仰木さんが亡くなったとニュースが入った。きっと無理して監督を引き受けたんだろう。癌だとのことだ、そんなあっさりと病状が進むわけもなく、きっとシーズン中、あるいは、シーズン前からそうだったのだろう。ベースボールマガジンで豊田泰光がそれとなく匂わせるような書きぶりをしていた。
60歳で監督をしたのは、中日の近藤監督が最初だったそうだが、今は、若い監督と還暦を過ぎた監督が混じっている。青年監督を思わせる原だって、長嶋が最初に監督をしたときよりはいくらも年長である。全体に高年齢で元気に過ごせるような社会になったとはいえ、スポーツの世界でやっぱり70歳は無茶な年齢なんだろう。
野茂、イチロー、長谷川、田口、吉井、大塚(どうも、木田と中村もそうだ)と、太平洋を超えてベースボールに挑んでいった人にかかわった仰木さんの功績は、意外に後からじわじわ出て来るんだろう。
ボクにとって一番印象深いシーンは、オールスター戦のイチローの登板である。「野球ファンの夢」とか何とか言われていたが、松井に代打高津を出した野村監督との差が際立っている。野球観の違いが顕著に現れていたように思う。どちらがいいとは思わないが、野球の復権には、野村のようにプロフェッショナルの仕事が欠かせないし、仰木さんのファンを賛否含めて引きつける仕種も必要だ。だから、ペナントレースという長丁場が用意されているのに、森のように負け試合を作って優勝するような野球を「勝てる野球」をしてもてはやした時代が、今のつまらない野球を生んでいる。岡田のように、古田に「引退勧告」するような野暮な真似(あるいは、ヒールを気取るならそれは大した覚悟。快哉。)まである。
いずれにせよ、大事な人を失った。
あの歴史的なロッテ戦が一番仰木さんらしかった。近鉄って悲哀が滲む球団だったけど、いいチームだったのかもしれない。