電車転覆

気の毒な事故になったものだ。尼崎との類似性を無責任に指摘する声がある。

  1. 運行時間に遅れが生じていたので、運転手が速度を上げていた。
  2. 最近の車両は軽いので風に弱い。

最初の点については、少なくとも天候が回復していない段階で速度を上げることは考えにくい。1時間近くも遅れてしまえば、今更加速しても追い上げられない。また、田舎の線路では、急いで走ったところで次の駅で前の電車がつかえていることが多く、意味のない速度超過は考えにくい。
次の点は、見ればわかるが30年くらい前から現役だった車両を改造したもの。太平洋ベルト地帯(古いことばだが、まだ教科書にある)で使われている最新車両からはほど遠い。尼崎では25トンくらいだったらしいが、70トンほどあるそうだ。
いずれも、今の段階ではあっという間に下火になっているが、事故発生後すぐの報道では平気で使われていた言説。
NHKではもっと奇妙な感じだった。深夜になって現場からの中継が行われていたが、現場の記者に本局のキャスターがけが人の状況を尋ねたところ、「生命に別状のあるけが人はいません」と返した。キャスターが、歩いて電車を離れているのか、担架なのかと聞いたのに、そんな答え。そこまで踏み込んで判断してあとで亡くなった人があっても知らないぞと言っていたら、その通りになった。何が確実な情報で、何を伝えていけばいのか、なかなか混乱していることを示した場面だった。
基本的な原因は、風だろうと思うが、時速100キロメートルで走行している車両がどのくらいの風をどこからどううけたら脱線するのかについて検証する必要がある。風による脱線転覆はいくつかの例がある。今回のように海に臨した地域の川沿いは特に風が吹き抜けるし、また、鉄橋の構造もあるだろう。さらに、今回のような湿り気のひどい雪では鉄橋から雪が落下することがある。例えば、雪のあとの雨、そのあとの気温低下で雪がコンクリートの塊のようになることがある。そういうものが電車の走行に影響を与えた可能性はないのか。
飛び交う言説は、ようやく各社そろってきた。雪に慣れないのは必ずしも道路や鉄道、くらしばかりではないようだ。