城山かんじき歩き

今月の末、地元の体育指導員のみなさんに冬の野遊びとしてかんじき歩きのサポートをすることになった。場所をいろいろ提示していたが、城山がよかろうということになり、下見をしておくことにした。
ボクはこのところ勝手に、小川三山と名付けている山々がある。小川流域、と呼ぶには少し遠すぎる場所もあるが、真ん中にあるのが小川なのでそんな風に呼んでみた。いずれも200メートルちょっとの低山だが、土地の風土を語るに欠かせない山である。ちょっとシリーズとしてまだまだこなれていないが、紹介しておこう。
まず、城山。かつて、北陸宮の御座所があった宮崎城の城址である。それから、馬鬣山。北陸道の宿場町、泊町を見下ろす山。馬鬣山の名は、明治天皇の御幸に際して命名されている。そして、同じく北陸街道(下街道)の宿場町舟見の守護、舟見山。それぞれに麓に神社をもち、霊山ではないが、ご神体として鎮座する風情をもっている。
これらの山々に、三峯、南保富士、負釣山あたりを加えてシリーズにしたいが、どちらかというと三峯が中途半端でそれだったら、三峯、南保富士、大地と、あたかも、羽黒山湯殿山、月山の出羽三山にならった方がよいかとも思っている。三峯がピークを3つも持っているので、それだけで三峯連山として、南保富士、負釣山、大鷲山という展開もよいか。
ともあれ、年末、正月と舟見山に登ってきたので、今回はちょうと2山目になる。
午前10時、車を宮崎漁港に停めて、鹿島神社に参内。ちょうど左義長の焼け跡が残り、今日の季節を感じさせる。柏手がいい響きで鳴り渡る。昨日の雨で雪はずいぶん少なくなった。また、かなり緩んでいる。鹿島神社の裏手の階段をつぼ足で上り、そこからかんじき。久しぶりなのでつま先をひっかけてしまう。本来、かんじきは手を空けるため、杖を持つことはあっても両手には持たない。しかし、今回はストックワークのおもしろさを楽しんでもらうためテレマーク用のストックを持参。
約20分で、奥の院。静寂のなかに、波の音。背景に燈台。ちょうど燈台のあたりで100mくらい。そこらにカモシカの足跡が広がる。はみ跡も探せば見つかろう。腰が痛いうえに、階段状の場所に積もった雪が空洞でもできているのかすっぽ抜ける。ぜいぜい言いながらも気持ちいい。日差しも少しだけ出てきた。
奥の院の裏の植林帯で遊歩道をロスト。面倒なので、そのまま昔段々畑だったところを上がる。共同アンテナのメンテナンスで足跡がここまで続いていることがよくあるが、先行者らしい足跡はもう少し右の斜面へ。犬の足跡も残っていたので、狩猟だろう。ここらからうさぎやいたちの足跡が増える。
上ノ山遊園に到達。出発から30分。水を飲む。以前は、アミノなんとかだの、アクティブなんとかだのを使っていたが、このところはけっこうただの水。本当はにがり水と梅干しがいいんだが。水が沁みていく。一面に広がった風景は、クロスカントリースキーにちょうどいい。ケヤキや桜の樹皮が美しく、小春日和に映える。目の前に本丸跡。本丸北側の斜面を一気に下る予定だったが、やはり、昨日の雨が堪えており、亀裂が多く諦める。
空堀から一気に本丸跡へ。本丸に向かう前に、城山神社に詣でる。本丸への急峻な斜面を登り、一気に開ける風景に浸る。この風景だけは変わらないな。魚肉ソーセージをかじる。黒胡椒が入ったやつだが、普通のやつが好きだ。サンクスになかったのだ。
上着とシェルのパンツを履いて、下りの装束を整える。一旦空堀まで下り、樹林を抜けて下の林道に下りることにする。
空堀から下の大斜面はスキーでも楽しめそうだ。ルートを探しながらの下りの行程はおもしろい。ずっと回り道をしている林道をずいぶんショートカットした。が、ここからは道なり。雪が重く実につらい。かんじきはこういう場所には向いていないのだ。クロスカントリースキーなら滑走するくらいの斜度はあるんだが。
林道を歩くこと20分。ようやく、城山トンネルの脇に出た。ここからは、北陸線の踏切まで雪で覆われた歩道を歩くがこれが実にやっかい。300メートルを10分もかけてしまった。国道の雪が歩道に積み上げられていて、固いところや柔らかいところが入り交じっている。
かるちゃーセンター宮崎から海沿いの道を歩き、車に戻る。途中、港を見下ろすと魚が沸いているではないか。あとで釣りにくることにしようと決めて、この山歩きを終える。
ボクにはこんな小さな山遊びが向いているのかもしれない。