上村、原田、大斗、マンニネン、荻原

眠い目をこすりながらもテレビを見ていた。
上村は、まとまりのある滑りだったし、コーク720自体はそれはそれでよかった。けれど、元々スピードに欠いているんだね、きっと。スピードはどっちかというと天性の部分があって、なかなか身に付けられない。残念だけど、その点で見栄えが少し足りなくて得点が伸びないらしい。祭典競技の悲哀か。長野7位、ソルトレーク6位、トリノ5位なので、バンクーバーとその次でメダルか(笑)
里谷は、よく間に合わせたなという印象。練習のターンはよく切れていたし、それなりの場所にちゃんといる人なんだと感じていた。リレハンメルのときには、17歳だったかな。上村ほど注目されない時代から一人で支えてきた感じがある。楽しそうに滑っているのを見てみたいな。
原田はまた何かやってくれる人になった。体重という微妙に揺れるものをルールに盛り込んでいるという競技の危うさが原田のところにやってきた感じで、気の毒だが、こういうこともある。今年も国内大会で失格があったはずだ。この人を見ているとアスリートの厳しさがよくわかる。強い人が勝ったり、速い人が勝ったりするのではなく、勝った人が勝者なのだとそんなことを思った。個人的には、何となくいつも2番手みたいに見えている、どちらかと言えば不遇の天才・葛西に期待している。今はどうかわからないけど、5年くらい前には、ラージヒルの世界記録保持者だものね。若い頃、V字にフィットできなくて、逆に強烈な前傾姿勢でのV字で跳び、その様子にカミカゼの称号が付き、さらに危険なので出場停止にしようとまで物議をかもした個性。今回こそ光って欲しい。
大斗はここにきてがっかりというところ。この人には、どっか覇気が薄く見えるところもあって、今回も、ま、いっかとどっちかというと、荻原弟っぽいところがある。
複合はマンニネンの失速。ジャンプで絶好の位置に付けたものの距離でまさかのスローダウン。あるんだな、ああいうことが。まったく体が動かないように見えた。逆に、凄かったのは、ゴットバルト。ぐんぐん追い上げてトップを脅かしそうな場所まできたが、足が残っていなかったというやつだ。銅争いもすごかった。ほぼつま先差。クロスカントリースキーではビデオ判定を普通にやっているので、そのくらいはよくあることなんだけど、あれがメダルかそうでないかのつま先差なのだ。いつものポディウムとは意味が違う。あと1歩というが、何と大きなことか。マンニネンの失速を語る荻原健司の表情が何か2重映しに、最強で迎えたオリンピックで、やはり勝てなかった自分に重なっているように思えた。あるんだよね、こういうのは、ウォザースプーンもそうだし。だからこそ、本命視されている人が勝つのはすごいことで、聖火ランナーとしてスタジアムを走った人々が賞賛されるのはそのような理由からだろう。
さあ、今晩は滑降だ。アルペン最速、いや、地上最速の戦いだ。生身の足で、体であんなものに耐えている。人はすごい。滑降レーサーからカーレースに転身したのが、例えば、今年のパリダカで勝ったリュック・アルファンで、日本でも、日本選手権の滑降で優勝した白馬村の平林織部が、現在、ラリーで活躍している。最初に上村のところで書いたけど、その人がもっているスピードってあるんだよね、きっと。
困ったなあ、忙しい時期なのに、けっこうテレビの日程が複雑。