上路クロカンダウンヒル

晴れているうちにと思って、三峯に行くことにする。女房を勤務先まで送って、笹川に入る。川は少し増水。これで、川への未練を残さないで済む。林道のところまでいくと、全くだめ。橋を渡ってすぐに積雪。今頃は上の山小屋までの林道があいているのだが、どうやら少し雪が多いようだ。ここから3キロメートルしか離れていない海は完全に春だというのに、山一つでえらい違いだ。もしやと思って、滝沢卓さんちの方の道に入ると案の定雪がない。しかし、これも七重滝谷まで。完全にアプローチだけで1時間半くらいの時間が残りそうなレベル。工事もやっているので車を置くところがない。
そこで急いで自宅に戻って、上路に行くことを決める。CXP+ワークスティンクスの組み合わせを急いで革靴+クロカン板に替える。
境川から入るといつものことだが、風景が一変する。特に、上路川の出会いから上流はカーブを曲がるたび冬になっていく。除雪がある里はずれのお宮前には県外ナンバーの車が並んでいる。どうやら白鳥山。駐める場所がないので、そば屋になっている山村交流センターのところで車を置いて、クロカンのセットで歩き出す。行きたいのは、いわゆる、上路のスキー場。今頃なら巨大な斜面が広がっているはずだ。
林道を使わず、水源地の方へショートカット。雪がたっぷりあると斜面の傾斜も幾分なだらかに。ステップもきくので、難なく歩ける。気持ちのいい春の林。動物の足跡が入り乱れている。
スキー場上部に出たが、まだ時間もあるし、もう少し上の橋まで行こうかとも思ったが、榀谷沿いにシュプールがあるので、それを追いかけてみる。白鳥山登山道の本流なのだ。以前よりも道は開けているので、そこそこにターンもできそうないい斜面が上まで続いている。堰堤の工事のための林道もあり、調子に乗ってどんどん登って、そのうちに藪があって進めなくなった。ちょっと避けるとそのままさらに上部まで行けそうだったが、実はかなり登っている。800メートル付近にいると推定。ここまできて、少し道具の選択を誤ったことに気付く。クロカンでは厳しいのだ。場所によってはツリーランも可能で、パウダーの頃ならちょっとした遊び場になる。30分くらいの登りでかなり冒険心のある楽しみ方ができそうだ。積雪は2メートルを下らない。
そろそろと滑り出すと、滑る。少し沈む。テレマークどころではない。プルークとストック制動。それがまた楽しい。笑い声を上げながら、必死のテレマーク。直進すると猛烈な速度がでそうだ。適したセットは、少し頑丈な革靴にドロミテ+シール。惜しいことしたなあ。まあ、これもおもしろい。ままならぬことを楽しむのがボクのスキーよ。
スキー場上部に出る。もともと段々畑だが、雪に覆われてウエーブのある緩斜面に。クロカンにはちょうどいいのだ。そこから一気に滑る。栂池の鐘のなる丘クラスの広がり。好き勝手に巨大な円弧のスラロームを描く。林道から下にも田んぼがあるが、その段差も有り余る雪にきれいな斜面になっている。気持ちよく滑り降りて、あとは軽快なダイアゴナル。何とクロカンらしい楽しみか。
スタートした地点がはるか彼方に見える。里まで戻ると、出発してからわずかに1時間。
いい場所を見付けた。まだ、当分楽しめそうだ。
山らしい場所で、里山遊び。
いい土地に住んでいる。感謝。