海ルアー

宮崎漁港でしばらくルアーを投げるが、向かいの人が煙草を投げ捨てたのを見て急に気持ちが萎える。それは言い訳に過ぎないが。気持ちが何にも向かわない。
帰りに釣具屋に寄ると、黒部市へ移転するという。今の亭主の親父の代から何かと世話になってきたが、自転車でひょいと訪ねることもなくなるか。
昔から世話になったスポーツ店も閉店したらしい。その隣のスーパーも。沖縄そばを食べに行ってみると、何とも不思議な雰囲気になっている。やるせなさが覆いつつあるなか、町長選挙のことを沖縄料理屋の女将が話す。対立候補もなく、店にくる30代の連中は投票に行かないと言っているという。君たちの世代が飛び出すチャンスだぞと心で唱えるが、それはボクらにも突きつけられている課題だと思って口を噤んだ。