中村紀洋と義理人情

オリックスの中村がどたばたの末、どうやら退団するらしい。
交渉は代理人が行っていたのだが、聞いていない、そんなつもりはないという展開で、いつかのメッツ入団ご破算を思わせる結末。
彼は、「お金の問題ではない」と繰り返しているが、ブログには「野球界の取り決めでは選手の了承がなければ認められない年俸の減額を言い渡され」たとのことばがある。しかし、ノリはそのことを年俸そのもののことではなく、自由契約への決意を迫られたと感じたらしく、そのうえでクリーンアップとして期待しているとする球団関係者の話を信じられないとしているようだ。
怪我をおしても全力でプレーした中村はその気持ちを裏切られた思いがあるのだろう。「義理・人情」ということばを使ってそのことを懸命に表現しようとしているが、やはり、ブログにも書いているとおり、この人は交渉が苦手、というよりは、ことばの裏側にあるものや気持ちを乗り越えていく戦略をのみ込めないものらしい。
最も古いタイプのプロ野球選手。粋に感じてフルスイングを続ける。美学ではあるけれど、舞台のないプロ野球選手は表現する場所を失っている。
そういえば、メッツのときも約束を破られたなどといた。愚直で単純。気の毒だが、「いてまえ」打線の近鉄の消滅と共に失われてしまったキャラクターの終焉だ。
中村紀洋公式ブログ
それにしても、プロ野球選手のもめ事はさすがメディアがおもしろく、楽しく、センセーショナルにやるので、例えば、赤田の着メロで保留なんてのがある。着メロ切っておくのが常識でしょう、なんて叫んでいたが、そんなところに神経質になっている赤田に憐れみの表情を世間は浮かべているので、常識だの倫理だのを持ってきても共感してもらえない。それでも、そうやってもめていることが取り上げてもらえるほどの場所にいるということが一種のステータスか。