今年はなかなかおもしろいじゃないか

このところ忙しくて野球中継もじっくり観られない。地上波の中継がなくてもケーブルで必ず何試合かやっているので、1イニング、1打席でも観るようにしている。
このところ、各ゲーム接戦が多く、足や機動力、投手起用など戦術的に明確な展開が割りにはっきりしていて、野球としてとてもおもしろいという印象だ。
例えば、ジャイアンツ。客を呼べるゲームかどうかはわからないが、内海が若きエースとして君臨。刺激を受けた高橋が完全に投球を変貌させて凄味を見せ、ジャンや木佐貫も何とか目途が立ちそうで、そこにルーキー金刃が加わっている。ここに、上原はともかくパウエルは要らないだろうとさえ思えてくる。アンダーハンド会田、真田、林の中継ぎも安定しており、あとはクローザー次第という、ここだけは相変わらずの様相。防御率トップは、ようやく投手コーチの力が浸透してきたか。同時に、サードコーチの力も徐々に伝わり始めて、とにかく前に前にというプレーも少なくない。アウトを恐れるなとは、高校野球でもそうだが、プロなら尚更。走るかと相手を驚嘆させる走塁は必ず後々の絡んだ展開で守備側の想定に風景として滑り込む。そのための備えをしておくためにも、足りない1歩に挑んでおくのだ。
だが、それらが、テレビのコンテンツとしてどうかという問題は横たわっている。モノフォニックと化した視聴者は、すでに2時間に及ぶ神経戦、肉弾戦というからだのリアリティに耐えられない。バスケットボールでも、バレーボールでもテレビ中継向きのルールに変貌している。芸人でもそうだ。2分以内のネタの多いこと、多いこと。正直な話、ボクは「笑点」が悪いと思う。寄席の雑多で多様なおもしろさを、エッセンスにしてキャラクターで見せてしまうような造り。現在では古典に属するが、かつての「笑点」のフォーマットは画期的であった。だが、あれが零落の始まり。すべてのコンテンツが「笑点」化した今、垂れ流しに近く、さらに、木久蔵師匠のわかりやすさから最も遠い、ランナーを進めるためのいくつもの局面など、視聴者ライクではないのだ。
残念だが、それは野球の責任ではなく、テレビの性格なのだ。那須野の5億がどうして「子どもの夢を奪う」のか。一攫千金。いいじゃねーか。