稚拙化

少年法改正に対して、朝日新聞の朝刊に河合幹雄氏のコメントが掲載されていた。
氏は、少年法改正があっと言う間になされようとしている状況に、少年犯罪が本当に凶悪化しているのかの根本的な問題を争点にさせない意図があると指摘し、そのなかで、犯罪は「凶悪化」ではなく「稚拙化」している現実があると書く。
このブログでしばしば書いているモノフォリストはまさしくそうした稚拙な犯罪者も範疇に含んでいる。嫌な奴だからいなくなればいい→殺そう。そんな信じられない、まったく、ブンガク的な意図や状況、つまり、人間としての葛藤を含まない犯罪が現れてきている。機微が失われたと、そんなことばで括ってしまえる。その括り方ですべてを包含してしまうのはまた悲しいことだが。
亭主を殺してその言い訳にさまざまな嘘の上塗りをしていく女性の姿をワイドショーで見聞したが、そこには、あらゆる犯罪小説を無化してしまうかのような唐突で場当たりでその場しのぎの風景が重なっていた。
稚拙で、単純で、打たれ弱い。この3つを諸相に重ね合わせると、実にいろんなものがしっくりとくる。