甲子園戦法
筑波大学というのはデータ野球の元祖みたいなところで、その割りに野球部は強いわけではなかったりするのだが、限られた場所での練習の方法なんかをしっかりした論文にしているあたりが官制大学のすごさという感じがする。
内容はなかなかおもしろい。野球の俗説みたいなものに浴した人には痛いところもあるだろう。野球を語るとき、やっていた人は自分が教わったことをセオリーだというし、観ている方はどうしてそれができないのかはがゆく思っているところをやっていないことを根拠に切り捨てられる部分もあって、さらには感覚的にどうしても立ち至れないもどかしさもある。
そういうときにこんな本はおもしろい。
ただ、1死1,3塁と1死2,3塁では前者がデンジャラスというあたりをデータで裏付けているのはおもしろいが、比較的こんなところはセオリーよりも常識に近いのりだ。また、好投手にはバントが利かないなんてのは、バントしかできないと言い切る人たちに反撃しやすく嬉しいデータだ。ちょっとだけ詳しく言うと、バントして2塁や3塁に走者を送ろうが、好投手はそんなことで崩れないのだ。ゆえに、真っ正面から向かって走者が出たら動く。そういう野球が実は有効なのだ。がっぷり四つは無理だけど。
- 作者: 川村卓/中村計
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/08/07
- メディア: 単行本
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