年寄りはおもしろい

あんまり読むことはないのだが、地元新聞の投書欄というのは年配の方の手慰みのような投稿が多くおもしろい。VOWネタとまではいかないが、それに近いものも少なくない。
KYなどという短縮ことばに憤っているお父さんが、「ことばにはTPOというものがあろう」といった内容を書いているし、山で「西洋かんじき」の青年にあった方がそのまま思い付きでその青年と同じ行き先に行くことにして「青年のあとはすこぶる軽快であった」とラッセルただ乗りを素直に喜んでいる。また、レストランが暖房を節約して肉も半分の大きさになり、銭湯はぬるいと書いている。
いや、非難しているわけではない。おもしろいのである。からかっているのではない。こういうことを懸命に社会に表現していこうとする意欲をいつまでももっておられることをリスペクトしている。
他にもこの時期には生徒会の機関誌や文集などといったものも目にかける。本の感想文に「私がこの本を読んで思ったことは」という書き出しで延々とつづられるものや、こういうものを書いたことがないので何を書けばよいのか迷っているということを書き連ねて、その挙げ句、こういう場をいただいたことを感謝しますとくくる。若い奴もかようにおもしろい。感想文集なので、読んで思ったこと以外の何が書かれるのかがいわば期待感の部分だし、また、つぶやくように描かれたそれなりの立場を背負った文章というのも世の中の権威ばった物言いによく対抗していて愉快である。
おもしろいのは年寄りだけでない。真面目くさってこちらの真剣さをすかしてくれるものはなべておもしろい。最近、そういうのが多いが。首相が一番そういうユーモアにあふれている。案外、石何とかもあれは精一杯のネタなのかもしれない。