隠された十字架

隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

梅原猛の哲学は、まさに哲学と呼べる問いかけに満ちている。
法隆寺について論じられるこの本の識見の多くは、いくつかの批判に晒されてはいるが、それとても、この大哲学者の問いかけがあればこそ生まれた議論である。実証主義の名前の元に、どれだけ徹底した思考が排除されてきたか。
思考の秩序、なんだかそんなことばを思い付いた。
もともと真理は秩序をもって整然と合理的にある。私たちの曇りがそれを損ねている。曇りを晴らすのは徹底した問いかけだけである。
面白い本だ。
様々な表情は、やはり心を示しているのだ。