野球の本を読むと

ボクは野球が好きなんだなと思うのは、子ども向けの本を読んでいてさえ泣けてしまう。

スポーツ感動物語(全12巻セット)

スポーツ感動物語(全12巻セット)

スポーツ感動物語 (4)

スポーツ感動物語 (4)

今日は、小学校高学年向けに書かれた深浦高校の話を読んで泣けた。122対0かなんかで、東奥義塾に負けた高校の話だ。7回コールドなのだが、途中監督は試合放棄を考える。本気で戦ってくる相手チーム。どこまでもこのフィールドに立ち続けたいとする選手たち。栄誉ある惨敗を選ぶ監督。野球だけにドラマがあるわけではない。ボクがそこに物語を現実味のある人のドキュメントとして描くだけの想像力を持ちやすいからだろう。
それにしても、負けることを知らない競技はつまらない。
だれかが金メダルを取ると、この選手はこうだったとか、家族がどうこうだとかいろいろなエピソードが流れる。そんなもの誰にでもあるんだ。金メダルのやつだけが特別なら、最初から競技などやめちまえばいい。うまい下手、強い弱いがあっても、どこにも思いは募り、願いは広がる。
息子のところで読んだ本なのだが、広島の前田智徳のエピソードが描かれた本でそのなかにイチローが出てくる。そういや今日100何年ぶりとかいって8年連続200安打を内野安打で放ち、「ボクらしい」と言ったそうだが、そのイチローが憧れたのが前田智徳である。イチローが背番号51にこだわるのも、それゆえとの噂もあるが、バーニー・ウイリアムスではないかとの話もある。ともかく、そのイチローがようやくその力を見せつけ始めオールスターで同じダッグアウトに座る。前田は「内野安打ばかりじゃ面白うなかろう」とぶっきらぼうに言い放ったというのだ。イチローはおもしろいかどうかはともかくとして、内野安打を彼のスタイルとして取り込んでいる。2人の天才のすれ違いの場所が実におもしろい。
ところが、こういうのは案外子ども向きにならない。前田の矜持がなかなか理解できないのだ。
しかし、今日読んでいたシリーズは、深浦高校みたいなネタを存分に扱っている。書いている人もすごいが、こういうのをちゃんと出版している、それを買っている学校があるというのもいい。
案外捨てたものじゃない。
でも、妙にきれいだったな。誰も読んでいないか。
前田の美学―広島東洋カープ前田智徳

前田の美学―広島東洋カープ前田智徳

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122対0の青春 (講談社文庫)

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0対122 けっぱれ!深浦高校野球部

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