WBC対西武

昨日、西武のスクイズのところまで見て、そこからは中継も終わるし、結果も関知していなかった。今朝になって、ケーブルですべてを中継していたが、結局、小松で崩れたとはいえ、オープン戦モードの西武に、実践モードのWBC代表のはずが完全に逆になっていた印象が残った。その流れを作ってしまったのが、オーストラリア戦の松坂の投球であったように思う。いつ登板しても、調整とか、フィットとか、トライとか、そんなことばが出てくる松坂にどうしてそんな人気が集まるのかわからない。その空気に引きずられる形でどの投手も手探りのような投球になっている。ダルビッシュさえその空気にからめとられている。そこが、投手陣の柱となるべき人の違いによって生まれているような気がしている。上原はそのあたりマウンドに現れたものに責任を持つという点で能力とか、投球を超えて、おそらくエースと呼ばれる人なのだろう。それでだめなら、だめなんだろうという、そういう気持ちにさえなる。
同様にイチローの調子が上向かない、いや、調子は悪くないのだろうと思うが、形にならないことに、また打者の方も引きずられている。ベンチのムードが容易に想像できる。調子者の村田や中島あたりがまったくよくないのは、イチローの空気を浴びてしまったゆえだろう。その点、小笠原や稲葉は大人である。しっかりと自分の形を出している。青木もいい。必ず形になるように思える。
一方、何が何やらわかっていない状態なのが、例えば、昨日の小松だろうし、中島だろう。とりわけ、中島はひどい。走者をおいての打撃がまるでどうにもならない。何のための2番なんだろう。その様子をネクストバッターサークルのイチローは苦虫つぶしたように見ているんじゃないだろうか。
しばしば、2番は送りバントで象徴されるようなサクリファイスの動きが重要に思われているが、案外そうでもない。野球は高度化すればするほどアウトによって攻撃していく戦術が必要になる。局面を作るための布石を、アウトひとつで作り出していくのだが、2番打者はそこにアウト以上に1球レベルの繊細さ、緻密さを要求される場所にある。クリーンナップに局面を作り出せるのかどうかが1球ごとに様子を変えて突きつけられる場所なのだ。それだから、2番打者が固定されたチームは強い。同じ要求は6番打者にもあって、同様に、指名打者制度では9番打者にも出てくる。今回のチーム編成では、中島、小笠原、そして、岩村である。どれもが3番を打てる選手。今の野球はそういう野球になっている。3番タイプが戦術的にどうしても必要なため、原がそういう人材を招集した意味はよくわかる。実は、同じように1番を打てる選手でもあるのだが。
しかし、3番タイプであって、2番は2番の仕事をしなければならない。中島が悪循環に陥っているのは、結果が出ない故に自分のスタイルで何とかしようとして、3番のバッティングをして、さらにそこでも結果が出ない。それで、ボクらには調整的な空気が蔓延してしまう。右打者では、村田、城島とクラッチタイプがいるため、中島の能力は貴重なのだ。それが、これでは、どうにも先が思いやられる。今日のゲームで形、つまり、アウトで攻めていく姿が出なければ、少々がっかりしたプレシーズンを味わうことになるだろう。
昨日のゲームは、西武のスクイズが勝因です。あれで、全員が突っ立ってしまった。サッカーなら、足が動かなくなった状態というやつだ。そのまま押し切られる空気はあそこで一気に醸成した。渡辺もやるなあ。