シーズン終了間際になると考える

シーズンの終わりがけに急に釣りがいとおしくなってくる。ここ数年はベストシーズンの釣りができなかったもので、どうにもこのあたりで川が懐かしくなってくるのだろう。
ボクは最初にもったロッドをとても気に入っていて、ボクにフライを教えてくれたnyamaさんが組んでくれたこともあって、おそらく約9割はそれで過ごしている。そのロッドとは、マッキーズのアーティスト・ロングリフター8ft#4-5、2pcsである。ボクにとってスタンダードというわけではなく、ロッドとしてそこらの渓流で遊ぶにためのスタンダードだろうと考えている。これに、#5のDTラインを通し、システム2LC56に巻き込んでいる。
最近の主流はどうやら#3ロッドのようで、あまり見ることもない雑誌を立ち読みで開くと、そこらからラインナップされている。さすがに#2となると際物で、#6,#7となればまた別に用途もあるので、最近では、#5なんてのはちょっと過疎になりつつあるのかなと感じている。
それでも、ボクは#5としてこのロッドを使っている。というのは、北陸の3月のためなのだ。雪解けが進む前の3月の渓流はミッジが楽しい。フルシーズンの脳天気なイブニングに比べると、気温もハッチもシビアなミッジの釣りは実に奥深く、楽しい。この季節、地形の関係から西側に開く場所では厳しい風にさらされる。この風に負けずにピンポイントにミッジを送り込むには、#5というラインコントロールが重要なのだ。ちょっと太めのグリップも今時ではない。しかし、この柔らかな指当たりも、ボクにはフライロッドらしくて好きなのだ。指にかけて包むのがよいのだが、少し手のひらにかかるくらいが、また、気持ちのよいものだ。
そのロッドに、#3−4のパックロッドをもっているが、このところ、源流行もご無沙汰で出番は減っている。それに仕舞い寸法が鍵盤ハーモニカ並というグラスロッドをもっているため、実際にザックに入れるにしてもそちらを優先している。こちらも#5。6ft並で、#5というおもしろいロッドだ。
そうやっているラインナップに今年加わったのが、TENRYUのロッド。ある筋からのいただきものだ。ベーシックマスターと名付けられた#3ロッド。これまでのスタンダード感が、実は少し変わった。全体にしなやかで、力の加減に応じて反応が良く、ティップを使うとか、バットを使うとかその感覚にしっかり応えるものをスタンダードと考えていた。
今のところ実釣は、ニレ池だけで渓流での性能を試す暇がない。ニレ池の場合にはフリーストーン以外のシチュエーションが味わえるので、いろいろやってみたのだが、なるほど柔らかいとはこういうことをいうのだなと感じさせられた。かかってから柔らかいとか、へなへなとかロッドの表現にはいろいろあるのだが、思うところでティップを制御できるような感触がある。そのことでキャスティングには安定感があり、なおかつ、ティップはラインの方向によく追随して伸びていく。そのくせ、いったん魚がかかれば、ティップはすぐにバットに仕事をまかせて、変に暴れない。なるほど、こういうことをベーシックと呼んでしまおうというのだな。
ラインは、#3WT。それを、バテンキル#3ディスクに巻き込む。おかげで、ニレ池の大物でもなかなかうれしく楽しい。グリップは、ボクのロングリフターよりも二回りは太い。そのはずである。ボクのロングリフターのグリップはカスタムで、わざと二回りぐらい太いですよと言われたのを強引にそれでやってもらったのだから。
さて、もうひとつ最近のエポックは、リーダーとティペット。長年アクロンを愛用していたが、人に勧められてマキシマに変更。キャスティングの安定感が2割増したように思える。6X、5X中心に使っているが、ティペットトラブルから完全に解放されたような感触さえある。無駄な癖がつかず、どこまでも素直であるとは、コントロールしやすいということなのだろう。
長年もっているスタイルで釣りをするのもいいのだが、少し何かを変えてみると、そのことで思いもよらない感覚が生まれてくる。でも、大抵そんなことを考えるのは、この9月、お彼岸のあとになってしまう。
その証拠に、この間から机の上にバイスが置きっぱなし。10分ほど時間があると1本巻いている。来年になったら、これ使うのかなとも思いながら、それでも気持ちが動く方向に流れてみたい。