ウェザーニューズの反論

台風18号が志摩半島に上陸したかどうかを巡って気象庁ウェザーニューズとの見解に相違があって、そのことでウェザーニューズが検証記事を配信している。少し感情が入って、煽っているような口調も滑り込んでおもしろい。
とかく、大本営発表などと言われるように、お上のお達しを鵜呑みにしたり、それだけが正しいと基準に据えたりする権威に寄り添った傾向があって、こういう議論はむしろ適正ではないかとさえ思える。
というのも、補正予算をめぐる政府の対応が、政権交代しましたという蜜月を過ごすことをよしとせず、これ以上削れぬと言う悲鳴が官庁を主導する大臣、副大臣政務官から挙がり、一方担当国務大臣からは、まだ足りぬと叱咤が飛ぶ。政策の是非はあるにせよ、政治とはこういう政策、施策におけるネゴシエーションなのだと毎日見せつけられている。これもある意味新しい。
聖域がなくなったとの印象も、一方ではある。そのような権威やら既成の価値を超えていく議論は、ウェブが先行していた。ウェブの方法論や価値形成の仕組みがすべて正しいとは思わないが、見えざる手が働いているように感じることもある。
前原大臣の唐突な羽田ハブ化発言にしても、橋下、森田という役者の姿を介在させて議論に発展させ、さらに、既成事実を一気に広める手法が透けて見える。そうしたやり方が許容されるのかどうかは、今後の政策の成り行きによって価値を与えられる話だろう。
ウェザーニューズだが、なかなか妥当だ。台風上陸っていても中心部が目に見えるわけではないので、状況証拠をどれだけ積み上げたかを競っているようなもので決着を見ないだろうが、ウェザーニューズが堂々と立ち向かっている姿勢と次々に新しいやり方を組み込んでくる意欲に、今回は快哉である。